消えゆく「カモノハシ」700系新幹線 どんな車両だったのか? 「新世代新幹線」の礎
「ドクターイエロー」のベースになり、「N700系」を生む
700系は最高速度こそ500系新幹線電車に一歩譲りますが、500系に比べて製造コストが低く経済性が高いです。500系は16両編成が9本で製造を終えたのに対し、700系は16両編成が75本、「ひかりレールスター」に使われる8両編成が16本製造されました。また、「ドクターイエロー」こと923形新幹線電気軌道総合試験車の車体は700系をベースに造られ、800系新幹線電車の走行システムは700系をベースにしているなど、高い汎用性が評価されています。
東海道新幹線では、500系も700系も同じ所要時間で運行されましたが、JR西日本区間である山陽新幹線では競合する航空機に所要時間で対抗するため、500系は300㎞/hで運転されました。2003(平成15)年に品川駅(東京都港区)が開業すると、JR東海は停車駅増加で所要時間が伸びるのを防ぐため、さらなる高性能車両を求めました。
その高性能車両とは、先行試作車が2005(平成17)年に登場したN700系新幹線電車です。N700系は形状こそ700系電車から大幅に変わりましたが、空力設計は700系をベースにコンピュータを駆使し、5000通りにわたるシミュレーションを行った結果生み出されました。ベースとなった700系は、新世代の新幹線電車の礎を築いたといえます。
700系は2019年12月1日(日)に東海道新幹線での定期運用を終了。JR東海は、2020年3月8日(日)の「のぞみ315号」をもって東海道新幹線から引退すると発表しています。
ちなみに山陽新幹線では、8両編成の700系「ひかりレールスター」がおもに「こだま」として活躍しています。こちらの置き換えについてはまだ具体的な発表がなく、山陽新幹線ではもうしばらく、ユニークな顔つきの700系を見られそうです。
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Writer: 児山 計(鉄道ライター)
出版社勤務を経てフリーのライター、編集者に。教育・ゲーム・趣味などの執筆を経て、現在は鉄道・模型・玩具系の記事を中心に執筆。鉄道は車両のメカニズムと座席が興味の中心。座席に座る前に巻尺を当てて寸法をとるのが習慣。言うなれば「メカ&座席鉄」。
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