列車の運転士が失神したら…どうなる? もしもの備え「EB」「デッドマン」とは

「ATS」「ATC」「ATO」でも安全をバックアップ

 ここまで述べた運転台の停止装置は、どれも「一定時間」などの条件付きで発動するものです。

 運悪く、この条件外で運転士に不測の事態が発生した場合でも、列車を停止させる保安装置があります。ATS(Automatic Train Stop:自動列車停止装置)です。これは運転士の失神だけではなく、信号の見落としなどヒューマンエラーでも列車を自動的に停止させる機能が備わっています。

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線路上に設置された白い機械が、自動列車停止装置(ATS)の一部で、地上子と呼ばれる(画像:写真AC)。

 一般的にATSは、信号機が停止もしくは制限速度を示すときに有効になり、列車の速度を検知する地点で一定の速度を超えたときに、自動で非常ブレーキがかかる仕組みです。なお、線路上で列車の速度を検知する機械(地上子)は、カーブや踏切、分岐器にも設置されていることが多くあります。

 ほかにも、ATC(Automatic Train Control:自動列車制御装置)を導入している区間では、前を走る列車の状況などを受信して、制限速度を運転台に表示します。前の列車との間隔が狭まるなどすると、運転士の意思とは関係なく自動的にブレーキがかかるため、速度が超過することはありません。

 また、東京の臨海部を走るゆりかもめや、神戸市の三宮と人口島「ポートアイランド」を結ぶポートライナーなど、ATO(Automatic Train Operation:自動列車運転装置)を導入している路線は、発車から停車までが自動的に行われるため、運転士の失神などのアクシデントはおろか、そもそも運転士がいない無人運転が可能です。

バスの客席にある非常ブレーキボタン

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コメント

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4件のコメント

  1. バスには「デッドマン装置」はつけられないのですか(急ブレーキは禁止ですっけ)?追突防止とか車線逸脱防止は一部で実用化されているようですが。

    • 今の「ノート e-power」のワンペダルモードはある種のデッドマン装置ではあるけどな。
      確かスカイラインはカメラが付いていて一定時間、瞬きしないとか何かで、勝手のブレーキがかかるんじゃなかったけ?

    • 最新のバスは車線逸脱警報などやドライバー監視機能と連動して、ドライバーの異常を検知したらハザードとホーンを自動鳴動してゆっくりと減速・停止させる機能が付いてますよ。

      これが既存の車両にも後付けできればいいんですけどね。

  2. ATS地上子は 列車の状態を検出するもの ではなく、現示されている信号の状態や、速度制限区間等の情報を 列車に送るためのもの のはずでは??…