「ガトリング砲」と「バルカン砲」 何が違うのか? 一時は廃れていたガトリング砲

無数の弾をばらまくイメージのガトリング砲やバルカン砲は、複数の銃身が高速回転するインパクトの大きさからか、映画やアニメなどで数多く描かれています。しかし、この2つは同じようでいて違いがあります。

一度廃れたガトリング砲が復活したワケ

 ガトリング砲の構造が見直されるのは、第2次世界大戦直後のことでした。それは軍用機のジェット機化が大きく影響しています。

 ジェット機になったことで、防弾板などで機体重量が増えても飛行性能に影響が出なくなり、さらに高速で飛べるようになると、従来の、軍用機や地上や艦艇上で使用されていた対空機関銃の発射速度では対応できず、仮に当たったとしても撃墜しにくくなったのです。

Large 20200330 01
航空自衛隊のF-4EJ改やF-15J、F-2の各戦闘機が搭載する20mm機関砲(バルカン砲)M61。厳密には「バルカン」と呼べるのはこの砲のみ(柘植優介撮影)。

 そのため戦闘機搭載用の機銃などにおいて、破壊力の高い大型弾を高速連射することが企図されるものの、単銃身の機関銃では銃身の加熱の問題や構造上の限界がありました。そこでアメリカ空軍が目を付けたのは、倉庫に眠っていたガトリング砲でした。

 ガトリング砲はひとつの銃身で数多くの弾を撃つのではなく、複数の銃身を回すことで1発ずつ順に弾を発射していきます。これならば、理論上は銃身の摩耗や加熱を単銃身よりも抑制でき、外部動力で動くため弾づまりなどが起きても強制的に排莢し、次弾発射できるため動作の確実性が高いです。また多銃身と大型化による重量増大は、航空機搭載のため問題とされませんでした。

 こうして約40年ぶりに、ガトリング砲は日の目を見ます。制式化された航空機用ガトリング砲はM61という型式名が付与され、ギリシャ神話に登場する火の神にちなんで「バルカン」と名付けられました。

 M61は、口径20mmの銃身を6つ束ね、それを電動で高速回転させます。高速回転で発射速度は毎分最大6000発です。

 ただし「バルカン」は商標登録されたため、基本的に20mm口径のM61しか「バルカン砲」とは呼びません。そのため、A-10「サンダーボルトII」攻撃機などが搭載する30mm口径のものは「アヴェンジャー」といい、小型の7.62mm口径のものは「ミニガン」と呼ばれます。もちろん、いずれも「ガトリング砲」の一種であり、そう呼んでも差し支えのないものです。

 とはいえ「バルカン砲」という名称も、「キャタピラ」や「ホッチキス」などと同じように、いつかは「ガトリング砲」と同義になっていくのかもしれません。

【了】

【写真】市販車よりもビッグ 総重量約1.8tの30mmガトリング砲

Writer:

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

最新記事

コメント

6件のコメント

  1. これって乗り物の話じゃないよね

  2. "「バルカン砲」という名称も・・・いつかは「ガトリング砲」と同義になっていくのかも"

    宇宙世紀0079ではその通りになりましたね。

  3. 人身事故というのは、1日に結構ありますね

  4. ガトリング砲は砲の種類の名前でバルカンは製品名だから、乗用車とプリウスはなにが違うのかと論じているようなもの。

  5. 写真はF-4用のAHS(アミニッション・ハンドリング・システム)と言います。

    航空祭の時の写真?でもバレル(砲身)が錆びてるなんて。( ̄▽ ̄;)

  6. 「ガトリング砲」だってガトリング作の最初のアレから借用して一般化した名前でしかないわけで

    「バルカン砲」が同じ道をたどって一般化するのは別に不自然でも何でもないし

    両者の違いを必死に探してもしょうがないと思う、根っこの定義がざっくりなんだから。

    本質的には何も変わらないんだし、そんなものを強調しようとすればするほど

    それを伝えたい対象の人からすれば痛いだけ煩いだけにしかならないよ

記事ランキング

  1. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開
  2. 「断固たる措置を講じる」首都高公式ブチギレ! 「公平性を著しく損なう」非常識ドライバーに“鉄槌”…一体何が?
  3. 「知らなかった!」SNSで話題に 高速道路の“2つ並んだ赤い三角コーン”、実は超重要な「ある合図」だった! NEXCO公式が投稿
  4. 神奈川県警の“バイクは自転車レーン走るな”投稿にツッコミ殺到! 「自転車にも車にもバイクにも迷惑です」…何が問題に?
  5. 史上最大の軍艦より135mもデカい!? 旧海軍「大和」を凌ぐ『エースコンバット8』の新ボス「陸上戦艦」の衝撃スペックとは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号