世界の巨大航空機3選 自衛隊も使うチャーター機やスペースシャトル運ぶための巨人機も

ギネス記録に認定されている世界最重の航空機

 第1位はウクライナ製のAn-225「ムリヤ」です。世界最大の飛行機(輸送機)で、機体サイズは全長84.0m、翼幅88.74m、全高18.1m、最大離陸重量は650tを誇ります。なお最大積載量は300tと、第3位のC-5「ギャラクシー」の2倍以上あります。

 An-225が開発されたのは1980年代のソ連で、当時計画中であったソ連版スペースシャトル「ブラン」を空輸するための専用機として誕生しました。

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2009年10月のサモア沖地震で、被災地サモア諸島に救援物資を運んできたAn-225「ムリヤ」(画像:アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁/FEMA)。

 開発を担当したのはアントノフ設計局で、前述したAn-124「ルスラン」の設計が流用されました。両機の顔つきが似ているのは必然といえるでしょう。

 ソ連版スペースシャトル「ブラン」を機体背面に外付けするために、An-124の設計を基に胴体が延長され、主翼は大きく、なおかつエンジンは2発増えて6発になっています。また尾翼は、「ブラン」を搭載した際の後方乱流の影響を小さくするためにH型へ改められています。

 こうして完成したAn-225は、1988(昭和63)年12月21日に初飛行し、翌1989(平成元)年から運用を開始しました。しかし初の「ブラン」輸送任務が終わった直後にソ連が崩壊し、「ブラン」の打ち上げ計画自体が取り止めになったため、以後、この任務に就くことはありませんでした。

 一方、1990年代後半からAn-124「ルスラン」の、チャーター機としての重要が急増したため、より大型のAn-225もニーズがあると考えられ、近代化改修されたのち民間輸送機としてアントノフ航空で運航がスタートします。

 現時点では1機しかありませんが、世界最大の積載量を生かしてアントノフ航空の目論見通りチャーター機として活躍しており、防衛省も自衛隊を海外派遣する際に使用したほか、東日本大震災のときにはフランス政府の救援物資を積んで来日しています。

 ここにあげた3機種は、すべて日本にも飛来しています。超大型機のため、離着陸できる空港や飛行場は限られますが、タイミングさえあえば国内で見ることが可能でしょう。

【了】

【写真】自衛隊のバックアップにあたる旧ソ連製輸送機

Writer: 柘植優介(乗りものライター)

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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コメント

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1件のコメント

  1. いま「フライトレーダー24」を見てたら、アントノフAN-124が成田空港に来たみたいです。