速すぎるクルマにNO! ボルボ「スピード自主規制」の反骨 ドイツ車至上主義を変えるか
高速性能があるからこそ「ゆとりの低速性能」…要らない?
最高速度を高くするには、エンジン出力だけでなく、車体の高い剛性や優れたサスペンション性能、ブレーキ性能が求められます。つまり、高性能なクルマになるのです。その性能の高さは、速度を落としたところでも、わかる人にはわかるものです。
ただし、低速で使うのであればオーバークオリティとなり不必要ですし、しかも、オーバーしている分だけコストもかさみます。そういう意味で大衆車よりも高級車にこそ、高速で走れるドイツ車の特徴が合致します。メルセデス・ベンツやBMW、アウディ、フォルクスワーゲンの高名な理由のひとつは、アウトバーン(速度無制限)が生み出す走行性能の優秀さにあると言えます。
そうした「超高速性能があるからこそ実現する、ゆとりの低速走行」をいらないという人もいるでしょう。そもそも、そうしたドイツの価値観に全員が追従する必要はありません。「180km/h以上の超高速走行ではドイツ車に劣るかもしれないが、それ以外では、こっちの国の、あのクルマの方がいい」という主張もあってしかるべきです。
しかし世界を見渡せば、「ドイツ車的価値観が最高」という風潮も根強く、特にプレミアムカー市場では、そうした傾向が強く見えます。しかもボルボは、スウェーデンに本社を置くメーカーですが、最近はこうしたドイツ車的高級志向を強めているところなのです。
星新一だったか、あまりに車内が快適なので(移動時間を長くするために)誰もが速度を出さなくなる自動車、という作品を書いていたかな?