大統領のジョークがホントに…米空母が理想郷を意味する「シャングリラ」を冠したワケ

「シャングリラ」は中国の都市名にも

 太平洋戦争後、空母「シャングリラ」はいったん予備艦扱いになりますが、3年半で現役復帰すると複数回の改修を受けながら、太平洋と大西洋の両方で活動します。

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1956年1月、西太平洋で訓練中の空母「シャングリラ」。飛行甲板が拡大され、艦首形状も変わっている(画像:アメリカ海軍)。

 ベトナム戦争に参加したのち、1971(昭和46)年7月末に再び予備艦となり活動を終了、約10年間の保管期間を経て、1982(昭和57)年7月15日付けで除籍され、1988(昭和63)年に台湾で解体されました。

 アメリカの軍艦には、都市名や古戦場などの地名はよく使われますが、実在しない架空の名称を付けられた艦は稀です。

 ちなみに、前述の小説やそれを元にした映画などで「シャングリラ」の名は世界的に広まり、のちには「理想郷」と同義の言葉としても扱われるようになりました。2002(平成14)年には中華人民共和国(中国)雲南省にある中甸(ちゅうでん)県がシャングリラ(香格里拉)県に改称しています。さらに2014(平成26)年、市制が施行されシャングリラ(香格里拉)市になりました。

 架空の地名が実在するようになった、これもまた「嘘から出たまこと」のひとつの事例といえるでしょう。

【了】

【写真】まるで別の艦のよう 空母「シャングリラ」の最終形態

Writer: 柘植優介(乗りものライター)

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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