「ひかり」を抜いた「こだま」 所要時間から見る東海道新幹線スピードアップの道のり
東海道新幹線の各駅停車「こだま」。東京~大阪間において途中何度も「のぞみ」や「ひかり」の通過待ちをしますが、実は開業当初の「ひかり」よりも所要時間は短くなっています。停車駅も多いのにどこで時間短縮をしているのでしょうか。
昔の「ひかり」より速くなった「こだま」
東海道新幹線の「こだま」は各駅に停車し、多くの駅で「のぞみ」や「ひかり」を待避するため、全体的にゆっくりなイメージがあるかもしれません。しかし、2020年3月のダイヤ改正では、2017年の改正時より待避回数が増えたにもかかわらず、標準的な「こだま」の所要時間は3時間54分となり、東京~新大阪間で4時間を切っています。
所要時間4時間といえば、東海道新幹線が開業した当時の「ひかり」の所要時間であり、名古屋、京都の2駅にしか停まらなかった当時の「ひかり」よりも、実は所要時間は短くなっています。
もっとも1964(昭和39)年の開業当初は、まだ路盤が完全に固まっていないことから徐行区間が設定されたうえでの所要時間なので、所要4時間は「『ひかり』本来の走り」とはいい難い面もあります。事実「ひかり」は翌年のスピードアップで、東京~新大阪間3時間10分、「こだま」は4時間での運転となっています。
しかし、現在の「こだま」が昔の「ひかり」並みの所要時間というのは、決して誇張ではありません。
当時の東海道新幹線は1時間あたり「ひかり」と「こだま」が各1本ずつ。「ひかり」の追い抜きも浜松駅での1回だけでした。その後ダイヤ改正のたびに運転本数が増え、それに合わせて「こだま」が「ひかり」を待避する回数も増えた結果、国鉄末期の「こだま」が東京~大阪間に要する時間は4時間20分ほどと、開業当初より遅くなっています。
40分短縮されてもね。千円安くしてくれたほうがよっぽどうれしい