「ひかり」を抜いた「こだま」 所要時間から見る東海道新幹線スピードアップの道のり

「こだま」はまだまだ速くなる? リニア中央新幹線が影響する可能性も

 加えて、新しいブレーキを装備したN700系は、ブレーキ時に必要な距離を大幅に短縮。最高速度で走れる区間と時間を伸ばしています。こういった細かい積み重ねの結果、駅間の所要時間は大幅に短縮されました。

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全列車がN700系になったことで、N700系の性能をフルに活かしたダイヤを構築できた(2019年10月、児山 計撮影)。

 しかし、N700系がいくら高性能でも、これだけでは本来の性能を発揮できません。性能の低い車両が残っていると、ダイヤは性能の低い車両に合わせて設定されるためです。N700系も、2020年3月のダイヤ改正までは従来の700系と共通の運用だったため、一部の列車は700系の性能に合わせた所要時間が設定されていました。

 しかし、ダイヤ改正ですべての車両がN700系となったため、N700系の性能をフルに活かしたダイヤを設定することができ、増発やスピードアップが可能となりました。

 ところで「こだま」は、これからもまだ速くなる要素は残っているでしょうか。

 2020年7月からは新型車両のN700Sが営業運転を開始します。N700SはN700系を基にさらなる高性能を実現していますが、すべての「こだま」に投入されるのはずっと先の話でしょう。

 しかし、リニア中央新幹線が開業すれば、最速達列車である「のぞみ」の利用客の一部がリニアに移行することが予想されます。そうなると東海道新幹線も運転本数が見直され、「こだま」の待避時間は減少することが考えられます。

 さすがに「追い抜きなしの3時間12分」は無理にしても、待避が2回減れば10分弱は短縮できるので、所要時間短縮の可能性は低くありません。「こだま」はまだまだ速くなる可能性を秘めています。

【了】

【表】「こだま」逆転 これだけ停車しても速くなった!

Writer: 児山 計(鉄道ライター)

出版社勤務を経てフリーのライター、編集者に。教育・ゲーム・趣味などの執筆を経て、現在は鉄道・模型・玩具系の記事を中心に執筆。鉄道は車両のメカニズムと座席が興味の中心。座席に座る前に巻尺を当てて寸法をとるのが習慣。言うなれば「メカ&座席鉄」。

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コメント

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1件のコメント

  1. 40分短縮されてもね。千円安くしてくれたほうがよっぽどうれしい