被災地のがれきや土砂の撤去で奮闘 「自衛隊の資材運搬車」の秘密 キャタピラはダテじゃない!

キャタピラゆえ「ハリボテ戦車」にも変身

 資材運搬車は、陸上自衛隊においてすでに四半世紀以上にわたって調達が続いていますが、そのベースは市販されている民生用重機です。

Large 200708 sizai 02

拡大画像

2011年、東日本大震災の被災地で資材運搬車を載せた状態で停まる3 1/2tダンプ(2011年4月、柘植優介撮影)。

 もとになったのは株式会社諸岡が生産する「不整地運搬車」です。「キャリアダンプ」とも呼ばれるこの車両は、運転のしやすさと整備性の高さから、市井の道路工事現場や建築現場でも使われるベストセラー建機です。

 資材運搬車は、乗車人数を2人に増やし、クレーンを取り付けるなど独自の改良を施しているものの、基本構造はそのままです。市販の重機がベースのため、価格も安く、安定した大量調達ができたのでしょう。

 こうした特徴を持つ資材運搬車は全国の部隊に広く配備され、扱いやすいサイズと優れた多用途性から、災害派遣だけでなく、ときにはボディを真っ白く塗って、PKO活動などの国際貢献任務でも使われています。

 なお、足回りがキャタピラなため、記念行事ではハリボテの「敵戦車」に姿を変えることも。そういう用途も含めて、陸上自衛隊の支援車両のなかでは屈指の汎用性を誇っているといえるでしょう。

【了】

【写真】九州の豪雨災害の被災地で活動する施設作業車

テーマ特集「【ミリタリー】急げ、救え! 自衛隊「災害派遣」の現場にせまる!」へ

Writer: 柘植優介(乗りものライター)

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。