6輪車で超信地旋回! 機密のカタマリ防衛装備庁陸上装備研究所がその一部を一般公開(写真11枚)

自衛隊の新装備を研究、開発する研究所のひとつ、陸上装備研究所の一般公開イベントが開催されました。超信地旋回する6輪電気自動車のデモンストレーションなど、文字通り百聞は一見に如かずです。

新装備はここから、機密のカタマリ一部公開イベント

防衛装備庁陸上装備研究所の一般公開イベントにて披露された、「軽量戦闘車両システム」の研究における「インホイールモータ試験車両」デモより(32秒)。

 2018年10月6日(土)、神奈川県相模原市にある防衛装備庁陸上装備研究所にて一般公開イベントが開催されました。

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「陸上装備研究所一般公開2018」にて公開された「軽量戦闘車両システムの研究」における「インホイールモータ試験車両」(月刊PANZER編集部撮影)。

 この研究所は自衛隊が使う火器、弾薬、耐弾・耐爆、車両、施設器材などの研究、試験を行っており、防衛に関る装備ということで秘密の分野もありますが、学会やシンポジウムで積極的に情報公開もしています。年1回程度行われる一般公開では普段目にすることができないようなモノや技術を見ることができます。

 自衛隊向けだからといって、兵器ばかり研究しているわけではありません。なかには民間でも使えるのではないかというものもあります。たとえば「軽量戦闘車両システムの研究」における電気自動車「インホイールモータ試験車両」が走行展示を行いました。この試験車両は6輪車ですが、すべてのホイールにモーターが組み込まれるインホイールモータ方式を採用しています。

 この方式では直接モーターの駆動力がホイールに伝えられるため効率が良く、車内にドライブシャフトを通す必要もないので車内容積を広く取ることができます。動力が6個に分割されているので、故障や戦闘などで全動力を失う確率が低くなります。また各ホイールの回転数を自由に調節できるので、路面状態に合わせたトラクションコントロールができるほか、大きな特徴は普通のクルマでは絶対にできない超信地旋回が可能なことです。

「超信地旋回」とは、左右の車輪を互いに逆回転させて、車体の中心を軸としてその場で旋回することで、戦車やブルドーザーなどの履帯(いわゆるキャタピラー)式車両のみが可能でした。タイヤ(装輪)車両で超信地旋回させるには、各タイヤの回転数を微妙に個別にコントロールする必要があるので、機械式トランスミッションでは難しく、スキッドステアローダーなどのごく一部の特殊小型車以外は実用化されていません。ちなみに装軌(履帯を装備していること)の戦車でも超信地旋回させるには複雑なトランスミッションが必要になるため、これが多くの戦車でできるようになったのは最近のことです。

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