間に合わなかった空母「雲龍」 機動部隊再建へ旧海軍が期待を寄せた量産型空母の顛末

空母黎明期より試行錯誤を続けてきた旧日本海軍は、中型空母「蒼龍」「飛龍」でひとつの完成形を見ます。その量産型といえる空母「雲龍」ですが、激動する世界情勢は、その完成を待っていてはくれませんでした。

(飛龍+蒼龍)÷2=「雲龍」 空母機動部隊再建にかけられた期待

 空母機動部隊を再建する量産型標準空母として期待された雲龍型は、建造を急ぐため「飛龍」の設計図をベースとして建造され、評判の悪かった「飛龍」の艦橋は一層増やして大型化し「蒼龍」のように右舷前部に配置したので、一見すると「蒼龍」と「雲龍」はよく似た形状になりました。

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アメリカ海軍の識別表に記載された「雲龍」の迷彩仕様。竣工時から艦影を偽装する対潜迷彩を施されていた(画像:アメリカ海軍)。

 雲龍型の特徴は建造期間が短いことでした。「飛龍」の建造期間は36か月、「蒼龍」は37か月でしたが、「雲龍」は4割以上削減された24か月となりました。「蒼龍」「飛龍」は標準空母の試作型で、その実績を反映し「雲龍」で量産型標準空母が完成したわけです。

 使い勝手の良かった「飛龍」の改良量産型でしたから性能も期待されました。基準排水量1万7500トンクラスの空母としては、速力34ノット、搭載機数57機+補用機8機とされ充分な性能を持っています。またそれまでの戦訓から対空火器の増設とダメージコントロールの改善が図られています。

 しかし「大鳳」のような重装甲大型空母推しだった航空本部は不満を隠しません。「雲龍」が進水した1943(昭和18)年ごろには艦載機も世代交代し、99式艦上爆撃機の後継に「彗星」、97式艦上攻撃機の後継に「天山」「流星」といった新型機が登場していました。零式艦上戦闘機の後継である「烈風」も完成するはずでした。

 ところが、「雲龍」の基本設計は10年前の「飛龍」のままで、新型機には手狭でした。大型化した「烈風」や「流星」は、狭い飛行甲板では滑走距離が取れず発艦条件は厳しくなり、カタパルトや補助ロケットなどの発艦アシストでもない限り、前世代機と同じ編成数を同じ時間で発艦させることは不可能で、航空本部は戦闘力が低下するとの見解を出しています。実際、1944(昭和19)年に横須賀航空隊が、「流星」に補助ロケットを装備して発艦実験を行っています。

【写真】「雲龍」では手狭だった艦上攻撃機「流星」

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コメント

4件のコメント

  1. 雲龍型の建造計画は、二番艦天城以降はミッドウェー海戦以後の改マル五計画によるものですが、一番艦の雲龍は改マル五計画ではなく、開戦前のマル急計画によるものだったと思います

    この為、改マル五計画の雲龍型13隻建造の計画には、一番艦の雲龍は含まれていないはずです

  2. 詮無いこととか言われても好きかどうか、空想妄想はこっちの勝手だしな。

  3. 雲龍型空母を扱われるのであれば、建造中断のやむなきに至った18年以降のドクトリン転換(水上戦力から基地航空隊へ主力を変化)並びに、20年序盤頃まで検討されていた神武作戦を取り上げられないのは何故でしょうか。

    前者は海軍軍備・戦法を一変させるような大変化ですし、後者は劣勢下にあっても機動部隊再建とその投入が現実的に考えられていた証左となります(事実、第二・第十航空艦隊は空母戦力への充当が考えられて錬成されている部分があります)。

    「必要なもの・タイミング」を考慮の上、なんとか活用を考えていた軌跡を無視して断ずるような記事はアンフェアかと思います。

  4. カタパルトがでかいよな。アメリカの護衛空母が日本の小型空母よりも性能が低いのに飛行機の運用能力は正規空母と同等だった。栗田艦隊を食い止めたのもただの護衛空母群だしな

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