列車の運転中に腹痛… を防ぐために鉄道員がしている体調管理 熱中症はどう対策?
まれに列車の運転士が突然の体調不良に襲われ、鉄道のダイヤが乱れてしまうことがあります。とはいえ乗務員もひとりの人間、お腹も痛くなるでしょう。しかし及ぼす影響が大きい分、普段からどのように体調管理しているのでしょうか。
定時運行の裏にある乗務員の徹底した体調管理
いまやこまめな水分補給が必要なのは常識ですが、乗務中の水分補給は、なるべく乗客の見ていないところで行うなどのルールもあるようです。現在では水分補給のほかに、眠気対策のアメやガム、タブレット菓子類が許可されている事業者も多くなってきました。
なお、熱中症は自覚症状がないまま進行することもあるようです。運転士や車掌は基本的にひとりで乗務員室に入り業務をしているため、症状について他人からの指摘が遅れることもあります。乗務員は少しでも体調に異常を感じたら列車を止めて交代することが望ましく、そのような不測の事態に備えて、主要駅などに予備の乗務員が待機していることもあります。
日本の鉄道が時間に正確であるといわれて久しいですが、裏を返せば乗務員がそれだけ気を配っていることの証でもあります。事実、乗務員の体調不良による列車遅延は滅多に発生していません。ただ、いざというときでも自分のせいで列車を止めづらいという気持ちは多かれ少なかれあることでしょう。体調不良により電車を止めてしまったり、あるいはそうしないよう水分補給をしていたりしても、周りが咎めるような世知辛い世の中にはしたくないものです。
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Writer: 西上いつき(鉄道アナリスト・IY Railroad Consulting代表)
大阪府出身。大学卒業後、名古屋鉄道にて運転士・指令員として鉄道運行に携わる。退職後、シンガポールの外資系企業にて国際ビジネスに従事。帰国後は東京を拠点として活動し2019年にIY Railroad Consulting設立、コンサルティング・セミナー・海外向け鉄道関連事業等を行う。東京交通短期大学・特別講師。著書に『電車を運転する技術』。
体調管理はもとより、くれぐれも運転中にスマホいじって遊ばないよう切にお願いします。