陸自「オスプレイ」なぜあの色? 飛行開始式典に在日米海兵隊司令官が参列の意味

飛行訓練が始まった陸上自衛隊のV-22「オスプレイ」。従来の陸自保有のヘリコプターと塗装が違うのは、新型機だからではなさそうです。その迷彩塗装と、式典にアメリカ海兵隊司令官が参列した意味合いについて見てみます。

「オスプレイ」は米海兵隊と連携するための象徴

 2020年11月3日(火)の「オスプレイ」飛行開始式には、沖縄からアメリカ海兵隊のハーマン・ステイシー・クラディー中将が参列し、安全祈願で機体に御神酒をかけるという日本的儀式も行っていました。

 これは「日本版海兵隊」と呼ばれる陸上自衛隊の水陸機動団と「オスプレイ」が一体運用することを前提にしているからで、アメリカ海兵隊とも密接に関係していることを示しています。

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飛行開始式でのテープカット。左端は陸上幕僚長の湯浅陸将、その右は第3海兵機動展開部隊司令官のクラディー海兵隊中将(2020年11月3日、月刊PANZER編集部撮影)。

 水陸機動団は創設以来、アメリカ海兵隊から様々な支援を受けており、ハード(装備)とソフト(編成や運用)の両面でアメリカ海兵隊に準じたものになっています。共同訓練も盛んに行われており、同じ装備を使った方が都合がよいのです。「オスプレイ」とは対照的に、水陸機動団が旧式の部類に入る水陸両用車AAV7をあえて導入したのもそのためといえるでしょう。

 なお陸上自衛隊では「オスプレイ」2機がようやく実動に入りますが、アメリカ海兵隊ではすでに200機以上が汎用回転翼輸送機として、作戦行動だけでなく日常的に業務や連絡にも使われています。日本が「オスプレイ」を導入したことには、こうしたアメリカ海兵隊の輸送機事情も大きく関係しています。

 日本では安全面に対する不信感が一部で根強く、本来、水陸機動団が駐屯する長崎県にほど近い佐賀空港へ配備する予定だったものが、千葉県木更津市へ「暫定配備」という形になってしまっています。そのためか飛行開始式でも、陸上自衛隊トップの湯浅悟郎陸上幕僚長は、航空安全と地域への理解という言葉を何度も繰り返していました。

 立ち上がって日の浅い水陸機動団は、日本が重視する島しょ防衛の主要部隊であり、アメリカ海兵隊とは切っても切れない関係にあります。領土防衛という陸上自衛隊の運用構想からも、アメリカ海兵隊との連携という日米の作戦計画のうえでも、重要な意味合いがあるといえるでしょう。

 陸上自衛隊にとって「オスプレイ」はただの新型機ではなく、地域への理解からアメリカ海兵隊との関係性まで、いろいろ気を使わなければならない機体です。これまでの陸上自衛隊回転翼機とは異なる3色塗装は、これら諸々の象徴のような気がします。

【了】

【写真】独特な色彩の陸自「オスプレイ」を色々な角度から

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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