戦艦「三笠」がつなぐ日本とイギリス防衛関連企業BAEとの意外と長くて深い縁とは?

日本の次期戦闘機開発への協力に名乗りを上げたBAEシステムズは、ユーロファイター「タイフーン」などで知られますが、実ははるか以前より日本とは縁深い企業です。それをつなぐのは戦艦「三笠」、どういうことでしょうか。

陸自の水陸両用車も「三笠」の縁で…?

「三笠」と同艦を建造したヴィッカースとの縁を前面に打ち出したプロモーション活動は実らず、ユーロファイター「タイフーン」がF-4EJ改の後継機の座を勝ち取ることはできませんでした。しかし、BAEシステムズという企業名と、実は同社が日本と長い関係を持つ企業であることは、確実に日本国内に浸透したと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。

 たとえば、陸上自衛隊が水陸機動団用に導入した水陸両用車「AAV7」は、元々アメリカのユナイテッド・ディフェンス社が開発したものですが、同社は2005年にBAEシステムズに買収され、2020年現在、AAV7はBAEシステムズの商品となっています。

 陸上自衛隊のAAV7は、その導入にあたって、アメリカ海兵隊の中古車両も検討されていましたが、最終的にBAEシステムズから新造車両が導入されています。このとき中古ではなくなぜ新造車両を導入したのか、理由は明らかにされていませんが、ユーロファイター「タイフーン」のプロモーション活動によってBAEシステムズの知名度が向上していなければ、中古車両が導入されていた可能性の方が高かったのではないかと筆者は思います。

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陸上自衛隊の水陸両用車(画像:陸上自衛隊)。

 これまで航空自衛隊はヨーロッパ製の戦闘機を導入したことがなく、第4次F-X当時、ユーロファイター「タイフーンは「当て馬」とみなされていた感がありました。それから約10年、BAEシステムズは2020年11月4日(水)に、航空自衛隊のF-2戦闘機を後継する次期戦闘機の開発支援企業に名乗りを上げていますが、かつてとは異なり、同社、さらに言えばイギリスは、もはや「当て馬」とはみなされず真剣に協力が議論されています。

 わずか10年足らずの間でここまで日本での知名度を上げ、ビジネスチャンスを拡大できたという意味において、BAEシステムズの「三笠作戦」は成功したといえる……のかもしれません。

【了】

【写真】まさにお宝 BAEと日本の縁を物語る東郷元帥ゆかりの「刀」

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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