鉄道車両の戸袋窓はなぜ減った? 後に改造でふさいだ例も カギは「ドア横」

長い間変化がないように見える通勤形車両の側面から、時代を経るごとに「戸袋窓」が消えつつあります。なぜでしょうか。実はこのスペース、鉄道会社にとっては重要な商材でもあるのです。

戸袋窓が残る車両 広告出稿の際はどうする?

 ドア横の広告は、B3サイズの紙をアルミの額縁で囲むタイプが主流です。乗客の目線の高さにあることから注目度が高く、交通広告の中でも人気のあるスペースとされています。

 西武鉄道でも戸袋窓のない車両にはドア横に広告枠がありましたが、広告というのは多くの人に見てもらうことが重要です。戸袋窓付きの車両が運用されていると、広告主にとっても媒体提供側である鉄道会社にとっても「機会損失」となります。そこで西武鉄道は従来車両の戸袋窓をふさぎ、広告枠を増設することで広告の価値を高めたというわけです。

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乗客の目線の高さに合わせ、ドア横に設けられたB3サイズの広告枠。車両は東急2020系電車(2018年2月、草町義和撮影)。

 なお、戸袋窓がある車両とない車両の両方がある京王電鉄では、広告出稿時の注意点として、「(戸袋窓のない)9000系・5000系・1000系車両に掲出」する旨が示されます。同じく小田急電鉄に出稿する際も、「一部の車両編成には掲載されません」などと車種限定である注釈があります。広告代理店も「必ずしもすべての車両に広告が掲載されるわけではありません」と喚起しています。広告価値を高める、つまりより多くの人に商品の魅力を伝えるためには、戸袋窓のない車両に統一した方が良いというわけです。

 戸袋窓が消滅する理由はさまざまですが、今後の新造車で戸袋窓付きの車両が登場するケースは、東京メトロ15000系電車のようなワイドドアで、戸袋窓を設けないと室内に圧迫感が生まれる、といった特殊な例を除いて登場しないと思われます。

【了】

【写真】「戸袋窓」あり/なしの新旧車両が連結

Writer:

出版社勤務を経てフリーのライター、編集者に。教育・ゲーム・趣味などの執筆を経て、現在は鉄道・模型・玩具系の記事を中心に執筆。鉄道は車両のメカニズムと座席が興味の中心。座席に座る前に巻尺を当てて寸法をとるのが習慣。言うなれば「メカ&座席鉄」。

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コメント

3件のコメント

  1. ありがとうございます。言われ見たら、本当最近の車両は戸袋窓はまったくと言って良いほど見ませんね。やはりコスパが関わっていると思います。さらに再開は戸袋窓がない代わりにドア窓が大きくなっている車両もあります(特に関西に多いようです※JR西日本の車両はもとより、阪急や近鉄、京阪などはドア窓が結構大きいです)。

  2. コスパだ、明るいLEDだ、自動空調だとか新しいものをよしとしてやってきて、車体をどんどん密閉空間状態にした結果、窓も開かない電車だらけになったとたん、コロナで「窓を開けて換気がベスト」ときた。最近では、近眼人口が増えておりその原因のひとつは太陽光を浴びないからとの説もあるらしい。

    開けられる窓、太陽光がさす窓。これからの時代、古いものも見直すことも必要なんじゃないか?

  3. 関西の私鉄では、最初から両開きドア採用車はほぼすべてと言っていいほど戸袋は付いていません。一部例外はあります

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