ワクチン接種進めば需要回復? 高速バス、見えてきたトンネル出口 会社により明暗も
回復遅れが懸念される、高速バスの「メイン路線」
一方、回復の遅れが懸念される分野もあります。そのひとつが、典型的な高速バス路線である、片道の所要時間が3時間以下で、30分間隔などの高頻度で運行される昼行路線です。これらの路線は、もともと乗客の多くが地方側の在住者であり、コンサートや有名店でのショッピングなど、大都市でしかできない消費体験のために大都市へ向かう人や、出張、冠婚葬祭など多様な利用がなされていました。
コロナ禍で落ち込み度合いが大きいのは、高速バスの「メインの市場」と言える、この地方側在住者の利用です。ある路線では、もともと3割ほどを占めていた大都市側の利用者数は半減だったのに対し、7割を占める地方側在住者の利用は、平年の8割も減りました。
イベントやショッピングなどの「都市型消費」は、いわば主観的な需要です。本人が「行きたい」と感じなければ需要は生まれません。本当に好きなアーティストのコンサートなら、再開されれば多くの人が参加するでしょう。しかし、実はイベントはきっかけに過ぎず、大都市で時間を過ごすことこそが真の目的であったケースも多いでしょう。最先端のファッションや趣味のこだわりのグッズも、ウェブ通販で買えるのに、東京や大阪のお店をわざわざ訪れることに価値を感じていた人もいるはずです。
長い自粛期間を経て、このような「何か理由を付けて都会へ出る」習慣が途絶えているのではという危惧があります。
出張の需要も同様です。この1年でオンライン会議が定着しました。筆者(成定竜一:高速バスマーケティング研究所代表)自身、バス事業者ら取引先との会議やセミナーはほぼ全てオンラインに変りました。感染収束後も、一部の会議やイベントはオンラインのまま残ることでしょう。
もっとも、以前から「インターネットが普及すれば出張は減る」と言われ続けながら、高速バスや新幹線などの輸送人員が伸び続けていたことを考えると、必ずしも悲観的な想定ばかりではないのかもしれません。
しごとの関係で週一回「みと号」に片道だけ乗ります。東京駅ターミナルで驚いたのがみと号の削減率の高さ。
かしま号はともかく東名便に抜かれました。
かしま号恐るべし。
特急あやめを消滅させたから、の需要とも言えますが、間10分が日中もあるんです。