台風接近 鉄道の運休基準は? 雨や風の強さもさまざま 本格的な「計画運休」から3年
雨の場合は風のようにシンプルにはいかず…
大雨によっても鉄道の運行は影響を受けます。土中の水分が多くなると、線路の地盤が流出したり、崖崩れなどが起こったりする可能性があるためです。また川を渡る区間がある場合は、増水の程度によっては運休を余儀なくされます。
降雨による速度制限、運転見合わせの基準は風速のようにシンプルではなく、線路の環境やそれまでの経験によって対応が決められます。具体的には、線路が崖崩れのリスクある山間部を通るか、切通しなどによる法面があるか、先述したように川を渡る区間があるかなどで、過去の災害や事故発生状況とも照らし合わせます。
落石防止柵や鉄橋などには、雨量計や監視カメラ、センサ類が設置され、有事の際には運転指令所や走行中の列車などへ緊急通報がなされる仕組みを備える路線もあります。
なお降雨量で判断する場合は、1時間あたり40mm以上、継続300mm以上の雨で運転見合わせになるケースが多いようです。もちろん沿線の環境に応じた対応となり、例えば山間部を通る西武秩父線の一部区間では、30mm/hで速度制限、50mm/hまたは継続250mmで運転見合わせとなります。
2018年9月の台風24号以来、首都圏の鉄道各社は台風接近などに際し、事前に運休を告知する「計画運休」を本格的に実施しています。これは予報値を元にした判断であり、上述してきた規制値が必ずしも基準になっていません。何としても運行しなければならないという時代から、利用者にも理解を求めつつ「安全第一」で行動するという考えが、広く定着してきているといえそうです。
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