列車もろとも「消えた」根府川駅 語られぬ関東大震災最大の鉄道被災地 谷を駆けた土石流

関東大震災では、激震によって発生した土石流に東海道本線の列車が巻き込まれ、根府川駅もろとも消失する被害が生じています。当時どのような様子だったのか、残された資料や写真から考察してみます。

巻き込まれた上下列車の様子とは

 時刻表では下りが根府川12時00分発、上りが同12時01分発。当時は単線だったので、同駅で上下列車が行き違いをします。なお鉄道施設は将来を見越し、すでに複線分が建設されていました。日中に限れば同駅での列車交換はこの時だけ設定されており、乗車する人や見送り人、出迎え人がやってきて、この小さな駅でその日一番の賑わいになっていたようです。

 まさに最悪のタイミングで地震が発生します。下り真鶴行き列車(蒸気機関車977号機と客車8両)は駅構内の敷地もろとも垂直落差45m、距離にして75m先の海へ落下してしまいます。後ろの客車2両は連結器が切断されて海岸に横たわり、残りの車両は海中に沈みました。海岸の2両の客車は一度海中まで落ち、その後やってきた津波で打ち上げられたという証言もあります。

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土砂で破壊された東海道本線の白糸川鉄橋。現在と同形のトラス橋が落ちている(1927年『国有鉄道震災誌』)。

 海中で車両から脱出して海岸まで泳ぎ着いたり、付近を航海中の船に救助されたりした生還者もいますが、全乗客乗員約150人のうち約100人が死亡または行方不明となりました。また根府川駅にいた人々の中で生存者はいないとされています。

 海中に転落した機関車は、1932(昭和7)年に引き上げられています。機関車自体はスクラップとなりましたが、この977号機(1889年ベイヤー・ピーコック製)のナンバープレートは現在、さいたま市の鉄道博物館に展示されています。

 もう一本の東京行き上り列車は、真鶴~根府川間の寒ノ目山トンネル内を走行中に地震に遭い、機関車がちょうどトンネル出口に差し掛かった時に坑門の外で土砂が崩落。機関車は埋没し、乗務員2人が死亡しています。乗客は、いったんは全員無事でしたが、救助にかけつけた職員と共にトンネルから歩いて外に出た直後に山崩れに遭い、旅客数名と同職員6人が亡くなっています。

【被害状況】海中に転落した車両など

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コメント

3件のコメント

  1. 99年前の災害の写真貴重ですね。この場所より北側にある箱根離宮や、箱根登山鉄道にもかなりの被害が出ました。この時、早川橋梁(出山鉄橋)の被害が無かったのが驚きです。(いまも鉄橋は開通当時のまま残っています)

    • ここで書く箱根離宮は、ホテルの方ではなく箱根恩賜公園にあった函根離宮のことです。

  2. 90歳近い父から、この事故の話よく聞かされていました。戦前に祖母が奥湯河原で旅館を始めて、15年位前まで私も東京から週2,3ペースで車で通っていたのですが、根府川から岩あたり、海岸沿いの道を走るときはちょっと緊張しました。

    私の勘違いかもしれませんが、父曰く、「この事故で駅のホームが流されたから、今でも根府川駅に欠番のホームがある」と聞いて4,5年前、友人と江之浦測候所に行ったとき確認した記憶があります。

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