要塞作るの禁止→なら空母だ! 海戦を一変させた98年前のワシントン海軍軍縮条約

11月11日はワシントン海軍軍縮条約の交渉が始まった日。1923年に発効した本条約は、米英日仏伊5か国がどの程度の海軍力を保持できるか決めたものですが、戦艦や空母の保有量の宣言とは別の禁止条項が存在しました。

建艦競争の対象が巡洋艦に移行する

 太平洋戦争の初戦でも、要塞化を禁止されていたフィリピンやグアムに、旧日本軍は上陸作戦を成功させています。フィリピンについては、アメリカはマニラ湾にあったコレヒドール要塞の強化を、ワシントン条約失効後の1936(昭和11)年から着手しています。ただ、この要塞は、旧日本陸軍が海峡を隔てた対岸に大型砲を設置したことや、要塞内部の物資不足などもあって、最終的には攻略しています。

 なお、ハワイに関してはワシントン条約で要塞化の禁止条項に含まれていなかったことから、戦前の旧日本海軍の見積もりにおいても「連合艦隊の全てを投じても攻略不能」と見なされるほど強固な防御力を有していました。

 ハワイは、攻撃側となる旧日本海軍から見て、陸上からの補給や、味方の基地航空隊による支援が見込めない立地です。日本列島から距離が離れすぎているために、日本の空母機動部隊は数日もハワイに止まれないのに対して、アメリカ側はアメリカ本土から大型爆撃機を増援できます。

 かつ、ハワイのオアフ島は、戦艦と比べて射撃精度では大きく上回る要塞砲を備えていました。そう考えると、旧日本海軍の「ハワイは攻略不能」という見積もりは正確であったと言えるでしょう。

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フィリピン・マニラ湾に設けられたコレヒドール要塞の一部(画像:アメリカ海軍)。

 ただ、ワシントン海軍軍縮条約は、戦艦と空母にこそ制限を設けていたものの、巡洋艦には1隻辺りの排水量は1万トン以下、搭載砲の口径は127mm以上、203mm以下といった内容以外に制限がありませんでした。こうしたことから、日本、アメリカ、イギリス、フランス、イタリアは、建造制限がない巡洋艦や駆逐艦などの戦力充実を図るようになります。

 結果、この「条約型巡洋艦」の建艦競争が激しさを増したことで、巡洋艦以下を制限する新たな軍縮条約として「ロンドン海軍軍縮条約」が作られることになったのです。

【了】

※一部修正しました(11月9日10時44分)。

【写真】重巡洋艦とも撃ち合える 大口径砲搭載のアメリカ空母レキシントン級

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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コメント

1件のコメント

  1. 弾着にバラつきがあるから照準の正確さはそれほど効果ない、と言うわけではないのですね(゜o゜)30メートルの測距儀とはΣ(゜Д゜)

    軍縮条約の存在意義を何とするかによりますが、「力による国境変更を防ぐ」事を目指したなら要塞禁止は失敗でしたね(;o;)

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