「Jaguar」はジャガー、ジャグア、ジャギュア、ヤグアル…? 兵器愛称バラバラすぎ問題

ほかにもあった悩ましい表記例

 どの言語についてもそうですが、発音には方言のようなものもあるので、ある程度の「発音の幅」をみておくべきでしょう。模型ファンやミリタリーに詳しい方のなかでは比較的知られているところでいうと、かつて1970年代から1980年代にかけて、英語読みのタイガー戦車が“ドイツ語風”にティーゲル戦車となり、さらに変化して今では主流のティーガー戦車となった例が挙げられます。

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イギリスとフランスが共同開発した軽攻撃機「ジャギュア」(画像:アメリカ空軍)。

 ほかにも「キングタイガー」が、「ケーニヒスティーガー」や「ケーニクスティーガー」になった例、さらにはP-51戦闘機の愛称が「ムスタング」なのか「マスタング」なのかなど、枚挙にいとまがありません。

 そういえば、先に挙げたイギリスの名車「ジャガー」も、人によっては「ジャグワァー」と表現することがあります。なお、正規代理店では公式WEBサイト含めてカタカナ表記は「ジャガー」で統一しています。

 冒頭に記したフランスの装甲偵察戦闘車「ジャグア」の実戦配備はこれから本格化する予定です。同車のみならず、今後も「Jaguar」の愛称が与えられた陸・海・空の兵器は、間違いなく登場することでしょう。どこの国が開発したかで、その日本語表記が異なるというのも、乗りものの幅広さ、奥深さの一端といえるのかもしれません。

【了】

【全部Jaguar!】同じ愛称ながらカタカナ表記が違う兵器たち

Writer: 白石 光(戦史研究家)

東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。

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