山がないのに「○○山口」駅 32年経って復活した駅も!? 全国調べてみた
文字数が増えると登山口駅が増える
続いて4文字駅名を紹介します。京王電鉄高尾線の「高尾山口」駅(東京都八王子市)は、高尾山に向かうケーブルカー・高尾登山電鉄への接続駅です。以下、「登山口」関連の駅が多く登場します。
近畿日本鉄道信貴線と西信貴鋼索線には「信貴山口」駅(大阪府八尾市)があります。こちらも信貴山に登るケーブルカー(西信貴鋼索線)の接続駅です。同じく近鉄の葛城索道線(葛城山ロープウェイ)には、麓側に「葛城山口」駅(奈良県御所市)があります。標高959mの大和葛城山への玄関口という意味です。
水間鉄道水間線には「三ヶ山口」駅(大阪府貝塚市)があります。近くに三ヶ山という地名はありますが、そうした名前の山は見当たらないようです。
JRには、長崎本線と佐世保線の分岐駅「肥前山口」駅(佐賀県江北町)があります。こちらも肥前山という山があるわけではなく、旧国名「肥前国」と同地名「山口」の合成です。なお2022年秋に「江北」駅に改名され、近く消滅します。
一方、2022年3月12日に開業したばかりの新駅に、あいの風とやま鉄道の「新富山口」駅があります。駅名の由来は「富山駅からほど近く、新駅周辺で新しいまちづくりが展開されることから、富山市中心市街地への新しい玄関口(ゲートウェイ)として、新駅とその周辺がこれからますます発展することを期待」する、というものです。
5文字駅名は四国から。四国ケーブルには「八栗登山口」駅(香川県高松市)があります。八栗ケーブル線の麓側にある駅です。
北九州高速鉄道には「徳力嵐山口」駅(北九州市小倉南区)があります。「徳力」は地名。小嵐山という山がありますが、標高90mのこぢんまりとした丘です。
最長の6文字駅名は4駅あります。いずれも登山道などに隣接しています。
・会津鉄道「七ヶ岳登山口」駅(福島県南会津町):標高1635.8mの七ヶ岳の登山道に隣接。
・叡山電鉄叡山本線「八瀬比叡山口」駅(京都市左京区):標高848mの比叡山に向かう京福電気鉄道鋼索線(叡山ケーブル)への乗換駅。
・京阪電気鉄道石山坂本線「坂本比叡山口」駅(滋賀県大津市):元々は坂本駅。2018年に「比叡山観光の大津側の入口」であることを明確にするために改称。京都側の「八瀬比叡山口」駅と対応した駅名。
・JR五能線「白神岳登山口」駅(青森県深浦町):世界遺産のである白神岳(標高1235m)への登山道に隣接。
以上、25の「○○山口」駅を紹介しました。「そんな山は近くにない」山口駅が半数を超え、「やまぐち」と読むか「さん/ざんぐち」と読むかも相まって、興味深い結果となりました。
【了】
※新富山口駅、津山口駅、葛城山口駅、坂本比叡山口駅を追記しました(4月16日10時40分)。
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
富士急の富士山駅を「富士山口」駅にすりゃあよかったのにね