唯一立ち入れた御料車がある!? マロネフ59形 皇族以外も乗せた数奇な歴史
当時では珍しかった洋式便器を設置 なぜ?
2等寝台は、夜間に向かい合わせ座席を引き出して下段寝台とし、折りたたまれた上段寝台を展開する「プルマン式」を、鋼製客車として初めて採用しています。寝台の長さは180cm、幅は91.5cm(肘掛けの中心線基準なので、有効幅はやや狭い)、当時としてはゆとりのある設備でした。
そして1等寝台は、1人用区分室(個室)2室が備わっていました。この個室は長さ2.59m、幅1.862mの広さで、4.82平方メートルの専有面積がありました。これは寝台特急「北斗星」などに連結された1人用A個室寝台「ロイヤル」の居室部分(約4平方メートル)を上回る広さであり、現代の視点でも非常に豪華な設備です。
なお、この2室は唐紙風の引戸を解放することで、2室を連結することも可能でした。個室内にはソファとテーブル、夏季は扇風機も設けられていました。
カーテンの留め具やテーブル下、座席下には金メッキも施されており、貴賓車としての風格がありました。当時の1等寝台は個室内に洗面台が設けられていましたが、マイロネフ37290形では化粧室として、長さ1.905m、幅1.39mの広さを持つ個室が設置されていました。ちなみに化粧室と接続するトイレは、当時では極めて珍しい洋式便器であり、海外の来賓に配慮されていました。
このマイロネフ37290形は、車両の半分だけに1等車を示す白帯があり、残りの半分が2等車の青帯という変わったスタイルでした。1941(昭和16)年に形式改正が行われ、スイロネフ38形に変更されます。
明治村にある御料車は何度か車内公開しています。