唯一立ち入れた御料車がある!? マロネフ59形 皇族以外も乗せた数奇な歴史

頻繁に形式が変わる!

 しかし、敗戦後に進駐したアメリカ軍に接収され、1949(昭和24)年に車軸駆動冷房装置を搭載したスイロネ37形に再度変更されました。1951(昭和26)年ごろに晴れて接収を解除されると、スイロネ37形「1」は14号御料車に、「2」はマイロネ39形に、先述した、後に京都鉄道博物館で保存される「3」はスイロネ37形に戻した上で皇太子用非公式御乗車用車両に、それぞれ改造されました。

Large 220511 fkcym 02

拡大画像

1等寝台の1人用区分室(2016年10月、安藤昌季撮影)。

 この皇太子用非公式御乗車用車両はさらに変わります。1952(昭和27)年にブレーキ装置を操作できる緩急車設備を復活させ、重量増加も反映してマイロネフ38形1となりますが、1955(昭和30)年に1等寝台車が廃止されたことで、マロネフ59形1に改番されます。1961(昭和36)年の廃車後は、大阪・弁天町の交通科学博物館で、翌1962(昭和37)年から2014(平成26)年の閉館まで保存されていました。

 そして2016(平成28)年に京都鉄道博物館へ移設され、現在に至ります。筆者(安藤昌季:乗りものライター)は特別公開時に車内を見学しましたが、極めて贅沢で精緻に作りこまれた車両として、強い印象を受けました。

 なお14号御料車となった「1」ですが、シャワー室も備え、皇太子用として使われた後、国賓用となりました。イラン皇帝やペルー大統領、フィリピン大統領などを乗せた後で引退し、2022年現在は東京総合車両センターの御料車庫で保管されています。皇族専用車両が一般公開されたことはありませんが、筆者はいつの日か見てみたいと思うものです。

【了】

【「御料車」に入った!】マロネフ59形の車内 写真で見る

テーマ特集「【鉄道特集】往年の名車、活躍中のエース どんな車両? 国鉄時代の思い出も」へ

Writer: 安藤昌季(乗りものライター)

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

1件のコメント

  1. 明治村にある御料車は何度か車内公開しています。