唯一立ち入れた御料車がある!? マロネフ59形 皇族以外も乗せた数奇な歴史
京都鉄道博物館にはマロネフ59形という寝台車が保存されています。これは元々、戦前に製造された皇族・貴賓用1・2等寝台車です。豪華なのはいうまでもありませんが、まず立ち入れない皇族専用車両の中で、唯一公開されたことがあるのです。
現代の視点から見ても豪華な1等寝台
皇族専用の鉄道車両は「御料車」と呼ばれます。ただ最後に御料車と名付けられたのは、1960(昭和35)年に製造された「1号御料車(3代)」であり、電車のクロ157形やE655系「和」の特別車(E655-1)は御料車とは呼ばれないようです。
さいたま市の鉄道博物館には、1876(明治9)年製造の1号御料車(初代)を初め、2号(初代)、7号、8号、9号、10号、12号の御料車7両が保存されています。また5号御料車と6号御料車は、愛知県犬山市の博物館明治村で保存されていますが、車内への自由な立ち入りはできません。
京都鉄道博物館には、のちに14号御料車となったマイロネフ37290形の同型車両、マイロネフ37292(現在のマロネフ59形)が保存されています。同車はイベントにて車内が公開されたことがあり、唯一の「立ち入れる可能性がある皇族・貴賓用客車」といえるでしょう。
このマイロネフ37292は、1938(昭和13)年に国鉄鷹取工場(神戸市須磨区)で製造されました。形式としてのマイロネフ37290形は3両が製造され、うち37292は最後に製造された車両です。
昭和天皇の弟宮や貴賓客専用として製造された車両であり、定員は1等個室2名、2等寝台12名の合計14名と極めて少ない豪華車両でした。
明治村にある御料車は何度か車内公開しています。