【空から撮った鉄道】都区部を走る路面電車 「都電荒川線」の特徴的なところを観察する

都電荒川線は三ノ輪橋~早稲田を結び、荒川区、北区、豊島区、新宿区を通ります。以前は夜の姿と荒川車庫を紹介しました。今回は三ノ輪橋と早稲田の両起終点、併用軌道、舎人ライナーとの交差、雑司ヶ谷付近といった特徴的な箇所を紹介します。

この記事の目次

・荒川線は2系統を統合
・三ノ輪橋には歴史的建造物も
・地上と高架で都営同士が交差する
・雑司ヶ谷付近では景色が変化

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荒川線は2系統を統合

 荒川線は都内で唯一残された都電です。前身は三ノ輪(現・三ノ輪橋)~王子駅前~赤羽・早稲田を結んでいた私鉄の王子電気軌道で、東京都へ買収されて都電となり、27系統と32系統の2系統に分離されていました。1974(昭和49)年の都電荒川線再編時に、三ノ輪橋~早稲田間が残され、現在に至っています。

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都電荒川線の起点である三ノ輪橋電停に9000形が停車する。そばには常磐線が通っており、タイミングよくE657系の臨時特急「ときわ37号」が通過していった(2020年5月2日、吉永陽一撮影)。

 荒川線が残されたのは道路を走る併用軌道区間が僅かであり、ほとんどが専用軌道であったからとのことで、実際に乗車してみると、路面電車タイプの電車が道路と独立した専用軌道を走っています。東急世田谷線も軌道路線ながら全線専用軌道であり、都内で残存する路面電車は、路面とは名ばかりで普通の鉄道とあまり変わりありません。

 荒川線といえば、王子駅前~飛鳥山間の併用軌道が思い浮かびます。いかにも路面電車の雰囲気であり、かつて都心の道路を縦横無尽に走っていた都電を彷彿させる光景が残っています。さらに様々な鉄道路線と交差します。地下鉄は除くとして、町屋駅前は京成本線。熊野前は日暮里・舎人ライナー。王子駅前はJR京浜東北線、東北本線、東北・上越新幹線。大塚駅前はJR山手線です。

 そこで三ノ輪橋と早稲田の起終点、熊野前、王子駅前、併用軌道、大塚駅前と、都道工事中の雑司ヶ谷~学習院下を紹介します。都電の空撮はいっぺんに撮ったものはなく、何かの折にピンポイントで撮影してきました。撮影時期はバラバラですが、劇的に変化しているのは都道工事の箇所くらいです。

三ノ輪橋には歴史的建造物も

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Writer: 吉永陽一(写真作家)

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

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