なぜ東武デラックスロマンスカーは「最も豪華な私鉄特急」か 施設とサービスの“国鉄キラー”

国鉄に脅かされていた東武特急

 ここまで豪華車両が投入された理由には、1960年代の日光を巡る、東武と国鉄の競争にあります。国鉄は1956(昭和31)年、キハ55系を日光線の準急「日光」に投入。上野~宇都宮間では大宮駅すら通過するノンストップで、日光駅まで2時間4分で結びました。

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わたらせ渓谷鐵道の神戸駅で保存され、「電車のレストラン 清流」として使われる「デラックスロマンスカー」1720系のビュッフェ(2017年4月、安藤昌季撮影)。

 同年、東武鉄道はビュッフェカウンターと売店を備えシートをリクライニングとした、「デラックスロマンスカー」の前身1700系電車で対抗します。1700系は特急として浅草~東武日光間をノンストップの1時間55分で結びました。しかし翌1957(昭和32)年、国鉄は準急「日光」を東京駅始発とし、利便性で浅草駅を起点とする東武特急を脅かします。

 同じころ国鉄日光線の電化を進め、国鉄は1959(昭和34)年に、準急用車両ながら特急形151系とほぼ同一仕様の157系電車を投入しました。157系はスピードアップにも寄与し、東京・新宿~日光間を1時間57分で結びました。

 東武も黙ってはいません。1700系へ冷房設備を搭載するなどサービス水準を上げつつ、対国鉄の切り札として1720系「デラックスロマンスカー」を投入したのです。ちなみに157系の冷房設備は1962(昭和37)年まで待つことになります。

【60年前とは思えない豪華さ!】「デラックスロマンスカー」の車内を見る

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コメント

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1件のコメント

  1. DCR(デラックスロマンスカー略称)というと、試運転中にレコードの針が飛んだ話が有名ですかね、
    乗りものとは全く関係ないですが、清流レストランの画像に写っているカリタ ハイカットミル(黒)、後継発売され廃盤になっているため今では台数減って貴重だったりします。