日本最北の長距離路線バス「天北宗谷岬線」に乗った 171kmの鉄道代替バス 寂しき現状
車窓は素晴らしい! もうひとつの「日本最北の鉄道」をたどる旅
宗谷岬を過ぎると、左手前方にはオホーツク海と遠くまで続く美しい海岸線が一面に広がります。バスが走る国道238号は、稚内から網走まで総延長319kmを誇る道内屈指の長大国道で、「オホーツクライン」「宗谷国道」とも呼ばれています、海のはるか向こうはロシア。遠くに見える水平線とともに、最果ての旅情が味わえる風景が続きます。
稚内を発車して1時間半ほどで、バスは猿払村の中心部に位置する鬼志別バスターミナルに到着。こちらでは約30分停車しました。かつての鬼志別駅跡に建設されたバスターミナルの1階には、天北線資料展示室があります。周辺駅の駅名標や乗車券、備品、写真などが保存・展示されており、見ているだけでもあっという間に時間が過ぎていきます。
鬼志別からは再び国道238号に戻ったのち、一度内陸に入ります。猿払バス停を通過し、みたび国道238号へ。宗谷岬を過ぎてからの車内は乗務員と私のみで、寂しいバスの旅が続きます。
12時44分、バスは浜頓別バスターミナルに到着します。浜頓別町は、宗谷地方中部にある酪農と漁業が盛んな町。郊外には大手乳製品メーカーの工場もあります。以前は旧浜頓別駅跡にバスターミナルがありましたが、2019年4月に道路を挟んで向かいの「道の駅 北オホーツクはまとんべつ」に移転。建物内は乗車券カウンター、待合室のほか、カフェ、ショップを備えた多目的館として整備されています。こちらでは10分間停車しました。
浜頓別からは海沿いを離れ、内陸部を走行し音威子府をめざします。浜頓別高校前で部活帰りと思わしき高校生が1名乗車。所々で現れる天北線の廃線跡を見ながら、新緑の中をひた走ります。
天北線、懐かしいなあ。半世紀ほど前、初めて天北線に乗ったとき、駅間距離がすごく長かったことを思い出します。また、なの度目かの冬、浜頓別から公賓北線に乗り換えて、興浜北線からバス、興浜南線と乗り継いで中湧別、網走までオホーツク沿いに、冬の北海道を満喫したことや、浜頓別の商人宿のような旅館で出たカニがすこぶるおいしかったことなど、この記事のおかげで思い出しています。