100年前の高速電車がいくつも現役!? どれだけ速かった? ことでんのレトロ電車たち

なぜ20形は「近代化産業遺産」ではないのか

 最後は20形23号。この車両のみ大阪鉄道(現在の近畿日本鉄道南大阪線ほか)が、川崎造船所に製造させたもので、1925年の製造時はモ5621形と呼ばれていました。他のレトロ電車よりやや長く、全長15.2m、高さ4.2mです。

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ことでん20形23号(2019年3月、安藤昌季撮影)。

 その後1961(昭和36)年に譲渡され、ことでん20形21~24号として計4両を保有することになります。この際に、5枚窓だった前頭部は貫通扉付きの平妻形に変更されました。またモ5621形には側面に飾り窓があったのですが、車両延命措置で撤去されています。こうしたスタイルの変化もあって、レトロ電車では20形23号のみ、近代化産業遺産に認定されていません。

 とはいえ、製造時からの飾り柱が車内に備わるなど、その美しさは健在。2020年に引退後、高松市牟礼町でお遍路さんの休憩所となっています。

 なお、著者(安藤昌季:乗りものライター)は全てのレトロ電車(動態保存車両)に乗りましたが、車体はリベットが多数打たれ、車内は木造、狭い運転台、大きな振動や揺れ、釣りかけ式モーター音など、旧型車両の趣を感じました。先述の通り、現在も2両が事業用車として健在ですので、イベントなどでの公開が待ち望まれるところです。

【了】

※ギア比の箇所を修正しました(7月5日14時20分)。

【約100年前の電車】1000形の車内を見る

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Writer: 安藤昌季(乗りものライター)

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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コメント

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2件のコメント

  1.  吊掛式と現代のカルダン駆動式とではモーターの定格回転数に大きなな違いがあります。同時代のモーターでもメーカーによって回転数はかなりのバラ付きがあるので、単にギア比だけで性能を比べることはできません。

  2. 吊掛け式と 後年の カルダン駆動式と
    歯数比だけで比較ですか

    関西で急行運転するためのモハ43でも 2.26
    一般の旧型国電は 2.56 とかだったはず

    吊掛け車で 3.5 などというと
    高速重視の車というより
    むしろ スタートダッシュだけは速いが各停向きの低速域重視な車 と思えますが?

    例えば 吊掛け末期のモーター MT40 と
    文中に出てくる 151系の MT46 やその後の標準となった MT54 の定格回転数など調べてみましたか?

    たしか mt46 900rpmと MT46以後1500rpmとかだったはずで
    概ね 1.6~2倍程度回転数が違うはずです

    つまり この場合の 3.5 ならば
    現代の車換算でだと 歯数比 5.6~ 7 程度の車と言えるわけです

    こんな歯数比の 高速運転向け電車 などありません……