東京の地下鉄唯一の「座席」消滅秒読み 都営三田線6300形のゆくえ 新車投入でどうなる?

都営三田線の車両から消えるもの

 内装では、1・2次車と3次車で客室設備に違いがあります。それは東京の地下鉄では珍しい「クロスシート」です。

 1・2次車では客室の端部にクロスシートが設置され、4人がけのボックス席が設けられています。一般的にクロスシートの長所は快適性の確保、短所は乗車定員の減少とされます。なぜ混雑する東京都心の地下鉄に、クロスシートが導入されたのでしょうか。

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通勤形電車の座席配置はロングシートが基本。長手方向に座席が並ぶ(柴田東吾撮影)。

 それは6300形のデビュー当時、着座の点で乗客にとって選択性のある車内レイアウトを目指したため。そしてこれは、都営地下鉄で初の試みでもありました。ただ、3次車からはロングシートに統一され、コストダウンが図られました。

 東京メトロ南北線の9000系電車にも、かつてはクロスシートを備えた車両がありました。こちらはリニューアルに際してロングシートや車いすスペース、フリースペースに改修され、すでに消滅しています。

 ちなみに、都営三田線での導入が最後となったのが車いすスペースです。6300形に設置されたことで、都営地下鉄の全線で車いすスペースの導入が完了しました。

 登場から間もなく30年が経過する6300形ですが、車内の修繕を行った車両もあります。この際にクロスシートが廃止されても不思議なことではなかったのですが、そのまま残されました。翌2023年3月、都営三田線は新規開業する東急新横浜線を介し、相鉄線とも直通運転を開始します。現時点で判明している情報だと、6300形は新横浜駅までは顔を出すかもしれません。

【了】

【写真】三田線、いや東京都心の地下鉄から見納めになる座席とは

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Writer: 柴田東吾(鉄道趣味ライター)

1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR線の2度目の「乗りつぶし」に挑戦するも、九州南部を残して頓挫、飛行機の趣味は某ハイジャック事件からコクピットへの入室ができなくなり、挫折。現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。鉄道雑誌への寄稿多数。資格は大型二種免許を取るも、一度もバスで路上を走った経験なし。

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コメント

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1件のコメント

  1. 東急9000系の話もしてあげてください…