新情報で振り返る韓国艦による火器管制レーダー照射事案 「自衛措置」は成立するか?

海外で活動する自衛隊はどうなる?

 ちなみに日本の場合も、こうした部隊自衛のような権限が現場の自衛官に認められています。たとえば現在、中東海域に派遣されている海上自衛隊の護衛艦に関して、もし護衛艦に対する攻撃が発生した場合には、それに乗艦している自衛官が一定の要件の下で武器を使用してこれを防護することができます。

 これは「武器等防護のための武器の使用」(自衛隊法第95条)に基づくもので、この場合、護衛艦という「武器」を防護するためにその乗員である自衛官が護衛艦に搭載されている装備を使用してこれを防護するという仕組みです。

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2022年8月現在、ソマリア アデン湾における海賊対処への取組として現地へ派遣されている第41次水上部隊の護衛艦「さみだれ」(画像:海上自衛隊)。

 ただし、この「武器等防護のための武器の使用」では、攻撃してくる相手はテロリストや武装集団など国家以外の存在が想定されているため、基本的に他国の軍隊による攻撃に対してはまた別の法的根拠が必要になります。とはいえ、たとえばどこかの軍隊から突発的に攻撃を受けた場合など、相手の意図などが不明確な場合には、例外的に「武器等防護のための武器の使用」によって対応できる可能性はあります。

 また、先述した「部隊自衛」では部隊に所属する要員や艦艇の乗員などの身体や生命を防護することを目的としていますが、「武器等防護のための武器の使用」ではあくまでも「武器」の防護が目的とされているなど、両者には大きな違いがあります。

【画像】韓国艦による火器管制レーダ照射事案 海自P-1哨戒機の飛行概要

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