新情報で振り返る韓国艦による火器管制レーダー照射事案 「自衛措置」は成立するか?

韓国海軍艦による海自機への火器管制レーダー照射事案の発生から3年半、これに関連した新たな情報が報じられました。当時の韓国政府は「自衛権」の範疇という認識だったといいますが、正当なものなのでしょうか。

韓国の行為は「部隊自衛」として認められるのか?

 このように、確かに国際法上は、行動中の艦艇に対する脅威が生じた際に、現場の艦長の判断に基づいてこれに対応することが可能と考えられます。しかし、それはあくまでも実際に攻撃を受けたか、あるいはその差し迫った脅威が存在する場合に限られるとも考えられます。

 たとえば、この「部隊自衛」について規定するアメリカ海軍やオーストラリア海軍のマニュアルを見てみると、その行使が許されるのはあくまでも現実の攻撃やその急迫した脅威が生じた場合に限定されています。

Large 20220827 01
2018年12月20日15時ごろ、能登半島沖にて。海自P-1哨戒機が韓国艦「広開土大王」(中央上)より火器管制レーダー(FC)の照射を受けた(画像:防衛省公開動画より)。

 これに照らして考えてみると、まず、2018年12月の事案に関しては、日本の防衛省が公開している映像からも分かる通り、当時の「P-1」の行動は韓国海軍の駆逐艦に対して一切脅威を与えるものではありませんでした。また、その後策定された指針に関しても、単に日本の哨戒機が警告を無視して接近してきたからといって、これに対して火器管制レーダーを照射することを「部隊自衛」として正当化することは難しいと考えられます。何より、これを友好国の軍用機に対して実施することは全く好ましいことではありません。

 韓国側の対応が非協力的だったこともあり、ことの真相は未だ明らかではありませんが、しかし今後このようなことが二度と発生しないことを切に願います。

【了】

【画像】韓国艦による火器管制レーダ照射事案 海自P-1哨戒機の飛行概要

Writer:

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス