日本が持てる/持てない兵器の境界線は? 専守防衛と「スタンド・オフ・ミサイル」

日本が旨とする「専守防衛」において、持てる兵器と持てない兵器のラインはどこにあるのでしょうか。予算に計上され話題となっているミサイルなどを例に、その境界線について解説します。

「攻撃的兵器」であるか否かのライン 「空母」の場合

 このように、ある兵器が専守防衛に反するかどうかについては、それが攻撃的兵器に分類されるかどうかで決定されます。たとえば、現在注目を集めている海上自衛隊の「いずも」型護衛艦のいわゆる「空母化」改修について、これが攻撃的兵器のひとつである「攻撃型空母」にあたるという批判がありますが、実際はどうでしょうか。

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海自護衛艦「いずも」へ着艦するF-35戦闘機(画像:アメリカ海兵隊)。

「攻撃型空母」とは、「極めて大きな破壊力を有する爆弾を積めるなど大きな攻撃能力を持つ多数の対地攻撃機を主力とし、さらにそれに援護戦闘機や警戒管制機等を搭載して、これらの全航空機を含めてそれらが全体となって一つのシステムとして機能するような大型の艦艇などで、その性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のために用いられるようなもの(2017〈平成30〉年3月2日 第196回国会 参議院 予算委員会 小野寺五典防衛大臣〈当時〉答弁)」と定義される艦艇です。つまり、(1)対地攻撃機を主力とし、さらにその他の航空機と共にひとつのシステムとして機能する艦艇であり、かつ(2)相手国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられるもののみが「攻撃型空母」に該当することになります。

 これを踏まえれば、対地攻撃機ではなくあくまでも戦闘機である「F-35B」を必要に応じて搭載し、さらにその目的は相手国の国土の壊滅ではなく日本の防空能力の向上である「いずも」型の改修は、専守防衛に反するものではなく、憲法上問題ないということになるのです。

 このように、「〇〇は専守防衛や憲法に違反する」というセンセーショナルな意見に惑わされることなく、まずは個別の用語の定義や基本的な内容を確認することが重要なのです。

【了】

【画像】弾道ミサイルとはひと味違う「島しょ防衛用高速滑空弾」の運用イメージ

Writer:

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

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