旧共産圏も続々導入 なぜF-35は欧州を席巻? 次期「NATO標準戦闘機」ほぼ決まりか

比較的導入が容易な第5世代戦闘機として

 このように開発開始の時点で、すでにイギリス、オランダ、イタリア、カナダ、トルコ、ノルウェー、デンマークといったNATO加盟国が加わっていたのです。ゆえに、これらの国々でも将来的にはF-35が導入される見込みが立てられていたのは当然といえるでしょう。また、ライセンス生産あるいは部分生産が各国で行われるようになれば、平時の保守管理はもちろんのこと、有事のパーツ供給や機体そのものの提供などがスムーズに行われるようになるのは間違いないことです。

 つまりF-35は、開発の段階で、すでにNATO加盟国を含むアメリカの友好国に採用されるという宿命が与えられていたわけです。

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ポーランド空軍の国籍標識を描いたF-35「ライトニングII」戦闘機(画像:ロッキード・マーチン)。

 このような開発の背景をさらに後押ししたのが、既述した「NATO標準戦闘機」ことF-16の存在でした。

 F-16は性能面に優れているだけでなく、保守管理と操縦の容易さに加えて改修や改造を受け入れられるキャパシティー(高い発展性)を備えており、さらに実戦下のバトル・プルーフィングも済んでいる優秀な戦闘機です。しかし改修を施しても第4.5世代にまでしかレベルアップできないため、同機を装備する各国では、いずれより高性能な第5世代戦闘機を新たに採用するタイミングが来るのは明白でした。

 その際に、F-16と同じアメリカ製(というかアメリカ主体の国際開発)で、細かい部分では異なるものの、実質的にはその「上位互換」的な立場となるF-35は、まったく別開発の第5世代戦闘機を導入することを鑑みれば、F-16との「ハイ・ロー・ミックス」的な運用が、より容易となる機体で、導入しやすいといえるでしょう。

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