珍しくなった「昇降式踏切」今も残る場所とは なぜ廃れたのか
踏切には通常、遮断桿と呼ばれる長い棒状のものが使われますが、かつては、特に幅の広い道路の踏切で、ワイヤーやロープを用いた昇降式が見られました。なぜ数を減らしたのか、そして今でも見られる場所ではなぜ存続しているのでしょうか。
広い範囲を網羅できるワイヤー昇降式踏切
「踏切」と聞けばほとんどの人が、遮断機を支点に長い棒(遮断桿と呼ぶ)が弧を描くように動く様子を想像することでしょう。最近の遮断桿は繊維強化プラスチックでできていますが、かつては竹も使われていました。そして一昔前は、遮断桿ではなくワイヤーが上下に移動する、さながら最新式の昇降ロープ式ホームドアのような踏切がよく見られました。
この踏切は数を減らし、2022年現在は見つけるのが困難ですが、更新されずに残っている場所もあります。
三重県四日市市と川越町にまたがる四日市港は、日本屈指の港湾です。ここには四日市港線という貨物専用線が通っていますが、場所柄、周辺道路は大型トラックが頻繁に行き交うため、道路の幅員も通常より広くなっています。そして線路と道路が交差する踏切には、一般的な遮断桿ではなく昇降式のワイヤーが使われています。
なぜワイヤーなのか――それは道路の幅員が広いため、ワイヤーでなければきちんと遮断できないからです。
ここで通常の遮断桿を用いようものなら、先端が大きくしなってしまいます。きちんと遮断できないばかりか、遮断時そのしなりによって路面を叩いてしまい、遮断桿自身のほか路面を痛めることにもなります。
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