敵地攻撃は彼らに聞け?青森・三沢の米空軍F-16戦闘機が担う際どい任務とは 精鋭部隊「イタチ」

「WW」と尾翼に描くようになった由来

 SEAD任務は当初、「フェレット計画」と呼ばれていましたが、電子情報を収集する活動の「フェレット」と区別するため、「ワイルド・ウィーズル」という別の名で呼ぶようになります。そして、ワイルド・ウィーズル機の主兵装としてレーダーを破壊することに特化したミサイルも開発されました。レーダー波の指向性を利用して、その発信元に向かって飛ぶミサイルです。こちらも改良を経て、現在では「HARM」(High-speed Anti-Radiation Missile)と呼ばれる対レーダーミサイルが使用されています。

 SEAD任務を遂行するには、敵戦闘機による迎撃や対空砲火をかわす能力も求められます。そのため、ワイルド・ウィーズル機は飛行性能の優れた戦闘機をベースにECM能力と対レーダーミサイル運用能力を付与することで作られてきました。

 ちなみに、敵が自軍に向け仕掛けてくるECMに対抗する手段はECCM(Electronic Counter-Counter Measure)と呼ばれますが、こちらが仕掛けているECMないしECCMが効いているかどうかは敵の反応を観察するしかありません。そこもワイルド・ウィーズル任務の凄いところといえるでしょう。

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アメリカ西海岸ワシントン州にあるウイッドビーアイランド海軍航空基地からローテーション配備されている第209電子攻撃飛行隊のEA-18G電子戦機(細谷泰正撮影)。

 アメリカ空軍が用いた歴代のワイルド・ウィーズル機は、初代のF-100F「スーパーセイバー」に始まり、二代目のF-105F/G「サンダーチーフ」、三代目のF-4G「ファントムII」と全て複座の戦闘機がベースです。なぜ複座型かというと、前席のパイロットと後席の電子戦士官の2名で役割分担することが可能だからです。

 ただ、後に電子機器の小型化と自動化により単座、すなわちひとり乗りでも作戦遂行に支障がなくなったことから、現在では単座のF-16もワイルドヴィーゼル機として運用されるようになりました。

【40年前の戦闘機たち】F-105G&F-4Gなど往年のワイルドヴィーゼル機ほか

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