敵地攻撃は彼らに聞け?青森・三沢の米空軍F-16戦闘機が担う際どい任務とは 精鋭部隊「イタチ」

米海軍の電子戦機がミッションに同行することも

 三沢基地で運用されているF-16の主装備は、空気取り入れ口の横に取り付けられたASQ-213 HARM照準制御装置と、主翼下に装備されたAGM-88 HARM対レーダーミサイルです。とはいえ、高度化された現代のECM環境はまさに「いたちごっこ」であることから、これには同じく三沢に配備されている海軍所属のEA-18G「グラウラー」電子戦機がミッションに同行しECMを担当します。

 なお、三沢基地では空軍機と海軍機の緊密な連携を行うため、EA-18Gの後席に空軍からF-15EのWSO(兵装システム士官)が交換搭乗することも行われています。

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三沢基地内にある隊員食堂のトレイに描かれていたアメリカ空軍第35戦闘航空団のエンブレム。「Attack to Defend」の文字が確認できる(細谷泰正撮影)。

 ベトナム戦争終結後、F-4Gワイルド・ウィーズル部隊はアメリカ本土に戻りました。長らくカリフォルニア州のジョージ空軍基地を拠点に活動していましたが、アメリカ空軍はF-4Gを退役させ、1996(平成8)年、三沢基地にF-16によるワイルド・ウィーズル部隊を配置しました。これは国際情勢の変化を反映していると考えるのが妥当でしょう。

 なお、このとき三沢基地に配備されたF-16はアメリカ空軍初の単座仕様のワイルド・ウィーズル機となりました。ちなみに、それらを運用する第35戦闘航空団のモットーは「防衛のために攻撃する」(Attack to Defend)だとか。

 日本では現在、自衛隊の敵地攻撃能力の是非が議論されています。その点では、三沢の精鋭部隊、すなわち第35戦闘航空団のワイルド・ウィーズルが最たるものであり、彼らこそ敵地攻撃能力に関する様々な答えを知っていると言えるのではないでしょうか。

【了】

【40年前の戦闘機たち】F-105G&F-4Gなど往年のワイルドヴィーゼル機ほか

Writer: 細谷泰正(航空評論家/元AOPA JAPAN理事)

航空評論家、各国の航空行政、航空機研究が専門。日本オーナーパイロット協会(AOPA-JAPAN)元理事

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