「ワンショットライター」は嘘!? 敵の評価も高かった旧海軍「一式陸攻」ホントの性能は?

旧日本海軍が開発した一式陸上攻撃機。防御力が低く「ワンショットライター」などと揶揄されたといわれますが、それは正しいのでしょうか。同世代の様々な機体と比較して、同機が世界的にどのレベルだったのか推察してみます。

撃たれ弱さは米エースパイロットも否定

 たとえば、南太平洋のガダルカナル島を巡る攻防戦では一式陸上攻撃機は265機が出撃し、撃墜されたのは25機のため、損失率は9.8%に過ぎないという結果も残っています。

 これは高度8000mで進入する一式陸攻に対して、上昇力の低いF4F「ワイルドキャット」戦闘機は充分に追従できず、度々取り逃がしたためです。とはいえ、33機のF4F戦闘機に奇襲され、25機の一式陸攻が全機被弾したケースでも、撃墜されたのは5機のみで、高速が発揮できる高高度では「ワンショットライター」ではないこともわかります。

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イギリス空軍のブリストル「ボーファイター」爆撃機(画像:サンディエゴ航空宇宙博物館)。

 対戦した連合軍の評価書には一式陸攻について「本機は最も近代的な日本機の一つだが、その能力は連合軍側の対応する機種よりも低い。本機の防漏タンクの能力は不十分で、貧弱な装甲しか持たず、機体構造は脆弱である。防御機銃は多数が配置されているが、充分な防御力を与えているとは言えない」と記されており、充分な防御を備えていたとも言えないのですが。

 一方で、26機を撃墜し、一式陸攻と対戦した経験も持つアメリカ海兵隊のエースパイロット、フォス大尉は、パソコンのフライトシミュレーターを監修したさいに「一式陸攻は決して脆い機体ではない」と語ったとも言われています。

 一式陸上攻撃機は、イギリス戦艦を撃沈するなど、実戦でも活躍した高性能機でした。そうした機体なのに、容易に撃墜されるイメージが付いた理由は、日本と米英を始めとした連合国の航空戦力に開きがありすぎたからだといえるでしょう。筆者(安藤昌季:乗りものライター)としては、陸攻を護衛すべき零戦(零式艦上戦闘機)が、もう少し速力重視で、かつ有効な無線を搭載していたなら、違うイメージが根付いていたのではないかと考える次第です。

【了】

【写真】編隊飛行や終戦後の連絡飛行etc、さまざまな一式陸上攻撃機をイッキ見

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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コメント

4件のコメント

  1. 防御機銃として 7.7ミリは 文字通りあっても無きに 等しいものであるよ。 その点を この記事の筆者は 知らねばならない。      ーーー佐賀人

  2. ちなみに開発前の会議において設計者側が十分な防御と航続距離を両立するためにエンジンを4つ搭載する案を出したら「だまって指定された通り(※2つ)につくれ!」と軍に怒鳴られた話がある。

  3. "ガダルカナル島を巡る攻防戦では一式陸上攻撃機は265機が出撃し、撃墜されたのは25機"はさすがにウソでしょう?。ちょっと数えただけで第一次ソロモンで23機、第三次ソロモンで19機。265機も多すぎでは。出撃回数✕参加機数ってこと?それなら損耗率の計算はおかしい。ガ島だけでなくソロモン諸島全体ということなら被撃墜機数ももっと多いですよ。

    • これは正しくは

      1942年9月~11月において「地上目標攻撃のためガ島へ飛来した一式陸攻の数」

      非撃墜の方は「上記で出た損失の内、味方勢力圏までたどり着いて不時着等を除く数」です。

      数字も間違っており26機被撃墜です。

      引用元の本があるのですがそこから引用する際数字がずれており

      25/265だと9.4%なのに、割合は正しく9.8%になってる辺りも凡ミスです

      元の記事は概ね、対艦攻撃では大損害出たけど、対地攻撃はBoBと変わらんか少ないくらいだよ

      というものなのですが、言葉を省略してしまったために誤解を生む文章になっていますね

      引用としながら省略した前後の文章があると大きく意味が変わる物もあるので

      他人の研究成果は誤解させないよう伝達したいものです。参照元を明らかにしないのも良くないですね。

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