東急=総延長320km!? 五島慶太が築いた「大東急」時代のすご~い路線図を振り返る

戦時中、東京圏の南半分が東急の路線だった時代がありました。通称「大東急」時代です。広範囲に及ぶ路線網を持つまでにどのような動きがあったのでしょうか。そしていつ、なぜ大東急は終焉したのでしょうか。

「大東急」も戦争に翻弄され

 続いて渋谷には東横線、井の頭線、玉川線、天現寺線が乗り入れていました。後者2つは後に廃止された路面電車なので省略しますが、東横線は渋谷~桜木町間を約45分、井の頭線は渋谷~吉祥寺間を約30分と、本数はやや少ないものの現在と同じような運行形態でした。

 最後は品川です。元京浜電気鉄道の湘南線は日中、品川~黄金町間に急行列車が1時間あたり5本(12分間隔)運行され、品川~横浜間を32分、品川~浦賀間を1時間21分で結んでいました。品川~横浜間は現在、快特で20分ですから、かなり速い印象です。

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東急の高橋和夫社長(右)と野本弘文会長。社長交代時の記者会見にて。高橋社長は30年近く交通関連事業に携わった。「高」は正しくは「はしごだか」(中島洋平撮影)。

 しかし大東急は戦争に翻弄されていきます。1945(昭和20)年に入ると東京、横浜は激しい空襲を受けるようになり、各路線に甚大な被害が出て、通常の輸送すらままならなくなりました。そして戦争が終わると、戦時中に成立した大東急を解体して再編成すべきという声が上がり始めます。

 結果的に1947(昭和22)年6月に相模鉄道がグループから離脱、1948(昭和23)年6月に京急、小田急、京王が独立しますが、大東急以前の姿に戻ったわけではありません。元々、井の頭線(旧・帝都電鉄)は小田急の路線でしたが、営業規模が小さかった京王に移管され、「京王帝都電鉄(1998年に京王電鉄に改称)」として独立しました。小田急はこれに大反発しますが、代わりに箱根登山鉄道を傘下に加えることで何とか話はまとまりました。

 このほかバス事業なども再編成し、残った事業が東京急行電鉄として、2019年9月に持ち株会社「東急株式会社」に改組されるまで続くのです。わずか6年で瓦解した「大東急」ですが、現在の体制を形作ったという意味では意義があったといえるのかもしれません。

【了】

【路線図】「大東急」時代の運行範囲

Writer:

1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx

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コメント

2件のコメント

  1. 大東急の名残り:

    東急と小田急の車内アナウンスが同じ

    東急グループと京急グループのキャッチコピー表記が似ている

    下北沢駅に乗り換え改札が無い

    • 余所から失礼しますが、下北沢の中間改札無しは小田急の地下化で独立してます。

      が以前スルーだったのは井の頭線が元々は小田急の傍系で、今なら京成と新京成に近い関係だったからです。

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