『ガンダム』世界でジオンなぜ軍備拡充バレなかった? 史実にみる民生品隠れ蓑の兵器開発
『機動戦士ガンダム』のストーリーは、地球連邦の一部であったジオン公国が反旗を翻して戦いを挑むところから描かれます。しかし、どうすれば連邦の目を盗んで強大な軍事力を整備することが可能だったのでしょうか。
現代史にあった隠密裏に軍事力を整備した例とは?
人気アニメ『機動戦士ガンダム』では、冒頭でジオン公国軍の大艦隊から、人型兵器であるモビルスーツ(以下MS)「ザク」が発進する場面が描かれます。しかし、ジオン公国は元々、戦争相手である地球連邦の一部、すなわち自治領という位置付けでした。どうやって、大元である地球連邦と戦えるだけの軍事力を、隠密裏に構築できたのでしょうか。
厳密にいうと『機動戦士ガンダム』と、そのパラレルワールド的扱いの『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』ではやや設定が異なりますが、物語が始まる21年前の、宇宙世紀0058年にスペースコロニー群「サイド3」がジオン共和国(あるいはムンゾ自治共和国)として、独立を宣言しています。
この一方的な宣言に対し、地球連邦政府は翌年から「サイド3」への経済制裁を実施し、連邦とジオンは対立を深めます。ただ、筆者(安藤昌季:乗りものライター)が不思議に思うのは、「軍事力もなしに独立を宣言しても、地球連邦軍にすぐに鎮圧されるのでは」ということです。
しかし物語のなかでは、ジオンは独立から21年で強大な宇宙軍を作り上げ、自ら地球連邦に対して戦いを挑みます。結果、宇宙艦隊と新兵器MSを組み合わせたジオン軍は強力で、地球連邦軍は敗戦寸前まで追い込まれると描かれていました。
独立宣言した「サイド3」が露骨に軍事力を整備していたら、地球連邦はさすがに黙っていなかったでしょう。つまり「実は軍事力はあるけど、ないフリ」という隠蔽工作をしていたわけです。こんなことあるのかというと、歴史上、同じようなことをやっていた国が実在します。第1次世界大戦後のドイツです。
ガンダムに関してはすべて後付け設定。