『ガンダム』世界でジオンなぜ軍備拡充バレなかった? 史実にみる民生品隠れ蓑の兵器開発

潜水艦用エンジンもスイス企業経由で日本へ

 第1次世界大戦で敗北したドイツは、ヴェルサイユ条約によって当時、新兵器として注目されていた戦車の開発を禁止されました。しかし、ドイツは「重トラクター(グローストラクトーア)」「軽トラクター(ライヒトトラクトーア)」「WDシュレッパー」などの名称で、秘密裏に兵器開発を行っていました。

「トラクター」といっても実際は戦車で、「WDシュレッパー」は自走砲です。しかも、ドイツは1922(大正11)年にソ連とラパッロ条約という秘密協定を結び、共同事業という体で兵器開発を進めました。

 これは、戦車や自走砲の研究を進めるにあたり、イギリスやフランスの監視を逃れつつ各種テストを行うため、ソ連国内の試験場を使わせてもらおうとドイツが講じた策でした。なお、その見返りとして、ドイツはソ連に技術情報を提供しています。

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モビルスーツも民間用に偽装されていたのかもしれない(イラストレーター:ジャック・ハムスター)。

 一方、日本もドイツの軍事力を積極的に導入しています。日本は第1次世界大戦の賠償としてドイツ潜水艦を得ますが、それが優秀だと判断すると、旧日本海軍はドイツの造船所から最新の潜水艦技術を導入します。加えてドイツから設計技師や潜水艦乗組員も高給で招聘しています。

 ちなみに、来日したドイツ人技師の平均年俸は3万円だったとか。1914(大正3)年で日本の総理大臣の年俸は約1万2000円の時代ですから、超高給取りだったといえるでしょう。

 その結果、旧日本海軍はドイツの「U142級潜水艦」をベースに独自開発した巡洋潜水艦1型(伊I型)を誕生させます。ただ、主機(エンジン)や電動機、電池、潜望鏡、防水測距儀などは全てドイツ製でした。とはいえ、こうした外国からの発注も間接的にはドイツの軍事力強化に貢献したと考えられます。

 ちなみに、この艦艇の主機は、ドイツMAN社製でしたが、スイスのラウシェンバッハ社経由で川崎造船所が製造権を取得したため「羅(ら)式」と呼ばれていました。

【ソ連国内でテストした砲も】再軍備宣言前にドイツが開発していた各種兵器

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1件のコメント

  1. ガンダムに関してはすべて後付け設定。