生まれ故郷 立川へ「一式双発高等練習機」旧陸軍の万能機 80年間どこにあった?

第2次大戦中の旧軍機、一式双発高等練習機が2021年に引き続き、2022年10月にも立川で公開されました。同機は、航空遺産にも認定されるほど貴重な機体だとか。どこがレアなのか、そして立川に来る前はどこにあったのか振り返ります。

里帰りするまでの足どり

 今回、立川で展示された一式双発高等練習機(キ54)は旧日本陸軍の飛行第38戦隊に所属していた機体で、1943(昭和18)年9月27日に秋田県の能代市にあった飛行場(当時)を離陸して青森県八戸市へ向かう途中でエンジン故障に見舞われ、両県にまたがる十和田湖に不時着して水没したものです。この時、訓練中の乗員4名のうち、3名が亡くなりました。

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一式双発高等練習機(キ54)の垂直尾翼にしっかりと残った陸軍飛行第38戦隊の赤い部隊マーク(吉川和篤撮影)。

 その後、敗戦によって陸軍がなくなったことなどから、長らく忘れ去られていましたが、1990年代になって事故の記録から湖に沈んでいることが判明、2010(平成22)年に湖底の地形調査で発見されます。そして、青森県航空協会の有志らにより2012(平成24)年に引き揚げられ、県立三沢航空科学館で展示されるようになりました。ただ同館がその後、改修を受けることとなったため、それを機に立飛ホールディングスへの寄贈が決定、こうして生誕の地へと戻されることになったのです。

 機体は、60年以上にわたり水中にあったものの、淡水の十和田湖は年間を通して水温が4~5度と低温で、加えて紫外線や塩分にさらされなかったことなどから保存状態が比較的良く、一部には運用当時のオリジナル塗装や日の丸、部隊マークなども残っていました。こうした希少性などから、2016(平成28)年には日本航空協会(東京都)から重要航空遺産の認定を受けています。

 このように、歴史的価値もかなり高い立川の一式双発高等練習機ですが、一般公開は2022年10月末をもって最後となるというアナウンスが行われた結果、多くの見学者が詰めかけ、航空機メディア界隈ではちょっとした話題になっていました。

 ただ、これだけ多くの人を引き寄せたのですから、状況によっては今後、再び公開されるかもしれません。同機は、まさに80年前の日本の航空技術を21世紀の今に伝える「生き証人」といえるものです。

 もし、再度公開が行われたら、是非とも会場に足を運んで、当時の日本の航空機産業や技術について思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

【了】

【コックピットやエンジンも】80年前の航空技術を見た! 公開された「一式双練」

Writer:

1964年、香川県生まれ。イタリアやドイツ、日本の兵器や戦史研究を行い、軍事雑誌や模型雑誌で連載を行う。イラストも描き、自著の表紙や挿絵も製作。著書に「九七式中戦車写真集」や「イタリアの中戦車・重戦車写真集 」、「イタリア軍写真集」など。

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