戦車の先祖…なのか? 戦場よりも遊園地のほうがふさわしそうな「ボワローの機械」

意図はわかっても、なぜ具現化したのかわからないものは、歴史上ままあります。それは戦車の開発においても見られ、そして世にも珍妙な発明品がその歴史に刻まれました。戦車の先祖のひとつともいわれる「ボワローの機械」のお話。

時はWW1 各国が塹壕戦に知恵を絞るなか現れたとある「機械」

 第1次世界大戦では、戦線は鉄条網と塹壕で固められ、敵陣には機関銃が待ち構えており、地面は砲撃で掘り返され荒れ放題と、とても歩兵では進むこともままならない膠着状態に陥っていました。各国はこの状態を打破するため、実用化されたばかりの内燃機関を使った乗りものを試行錯誤します。

 これが戦車につながっていくのですが、中にはとても戦車には見えない珍妙な乗りものもあります。

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ボワローの機械。一見しただけでは乗り物だとは思えない(画像:AnonymousUnknown author、Public domain、via Wikimedia Commons)。

 そうした「果たしてこれは戦車の先祖といってよいのか」と疑義を挟みたくなるもののひとつが、1914(大正3)年12月、フランス人の技師ルイ・ボワローからフランス陸軍省へ提案され、1915(大正4)年1月3日には早くも試作が承認されました。それはひと言で表すなら「戦場用自走機械」とでもいうべきもので、戦車とも自動車とも形容しがたく、ただ「ボワローの機械」と呼ばれています。

 外見は、ジャングルジムの類のようにも見える超巨大な履帯(いわゆるキャタピラー)の構造物です。4m×3mの金属フレーム6個を蝶番でつなぎ合わせて履帯とし1本の無限軌道を組み、その輪の中に入った三角形の車体部に80馬力のガソリンエンジンを搭載します。その動力で、チェーンとロッドおよび歯車を介して履帯を回転させ、バッタン、バッタンと前進するものでした。

「ボワローの機械」は全長8m、幅3m、高さ4m、重さ30tになり、車体部には2名が乗車しました。試作車のためか車体に防弾装甲は施されておらず、どんな武装を搭載するつもりだったのかわかりません。超巨大な無限軌道は鉄条網を押しつぶし、塹壕をまたぎ、あらゆる地形の障害を走破できるはずでした。

 やがて、新兵器開発担当の陸軍次官をトップに据えたプロジェクトが発足し、試作車のテストが行われます。そのレポートが1915年5月17日に提出され、そして中身は予想通りのものでした。あまりにも貧弱で壊れやすく、計画値の時速3kmでは遅すぎ、方向転換もできない、ということで6月10日には公式に放棄されます。実物を作る前に気が付きそうなものです。

【画像】試作1号機の走行概要図や当時の新聞報道など「ボワローの機械」をもっと知る

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