時代が悪かった? 傑作機T-33幻の高性能版「スカイフォックス」ボーイング後押しも売れず

ポルトガルから受注、米空軍の関心を引くも…

 従来、胴体内部に収容していたジェットエンジンがなくなり、代わりに胴体側面に外付けする構造となったため、尾翼は再設計されています。胴体内はJ33エンジンが収容されていた大きなエンジンスペースに新しい燃料タンクが設置されたことで、T-33の特徴のひとつでもあった翼端の燃料タンクは撤去され、代わりに小型のウイングレットが取り付けられ抵抗を減少させるよう翼形状が改められました。

 これら改修に合わせて主翼は前縁が延長され、ブレーキにはアンチスキッド機能が付き、操縦性の向上も図られました。燃料系統も一新されたほか、機内の配線や電子機器、計器類も新型に交換されています。

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航空自衛隊三沢基地所在の第8飛行隊(当時)で運用されていた時のT-33ジェット練習機(画像:航空自衛隊)。

 改造は、T-33のカナダにおけるライセンス生産版CT-133「シルバースター」を使用して1982年から始まりました。最終的には原型CT-133(T-33)の機体構造のおよそ70%を再利用する形で「スカイフォックス」として完成。1983年8月23日に初飛行に成功すると、その後はカリフォルニア州モハーベ空港を拠点に試験飛行が行われました。

 こうしたなか、スカイフォックス社では改造キットを製品化するために営業活動を開始します。宣伝ポイントは、低燃費でメンテナンスコストも大幅に減少するので、飛行コストはT-33の半分という点でした。

 その結果、T-33を使用していたポルトガル空軍と20機を改造する基本合意を締結します。その後、アメリカ空軍も興味を示し、評価のために同機を借用したこともありました。これら実績からスカイフォックス社はその後、航空機大手のボーイングに買収されます。しかし結局、改造キットの事業化に必要な受注数を獲得することができず、ボーイングも事業化を諦めてしまいました。

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