時代が悪かった? 傑作機T-33幻の高性能版「スカイフォックス」ボーイング後押しも売れず

航空自衛隊も多数運用していた傑作機T-33。この機体をベースに大幅改良を施した「スカイフォックス」というジェット機がかつてありました。ボーイングも販売に関与したのに試作で終わった幻の飛行機。実機を見学した筆者が解説します。

「スカイフォックス」が成功しなかったワケ

 筆者(細谷泰正:航空評論家/元AOPA JAPAN理事)は1986年にモハーベ空港でスカイフォックス社を訪問し格納庫で整備中の本機を見学したことがあります。その時の第一印象は、T-33の改造機とは思えないほどの斬新なフォルムというものでした。

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1982年8月、カリフォルニア州フレスノ空軍基地で撮影したT-33ジェット練習機のコックピット(細谷泰正撮影)。

 性能も操縦性も申し分ないという説明を受けましたが、筆者が考えるに「スカイフォックス」が不発に終わった大きな理由は、1980年代の急激な燃料価格の変化ではないでしょうか。1980年前後に起きた第2次石油危機で、1バレル(約160リットル)30ドル(当時の1ドル230円換算で6900円)を初めて突破した原油価格は、その後の先進諸国の景気後退に伴い下落に転じ、1980年代半ばには20ドル(同4600円)を割り込みます。その影響で、航空燃料の価格も毎年安くなるという、今では信じられない時期でした。

 割高な航空ガソリンでさえ、1ガロン(約3.8リットル)およそ2ドル(同460円)。つまり1リッターあたり53セント(約122円)くらいだったのです。今から思うと想像できないほど低価格でした。ここまで安かったので、逆にコストをかけてT-33を「スカイフォックス」に改造するほどのメリットがなかったといえるでしょう。

 ゆえに、もし当時、ここまで燃料価格が下落せず、むしろ第1次石油危機のときのように高騰していたなら、「スカイフォックス」は各国で採用され、今ごろは世界中で飛んでいた可能性もあったのではないかと想像しています。

 2022年2月に起きたロシアのウクライナ侵攻により、エネルギー価格が上昇したことで航空燃料も高止まりが続いています。時代が違えば、「スカイフォックス」は前述したように飛行訓練のコストを低減する救世主となった可能性もあったでしょう。もしかしたら、「スカイフォックス」は登場時期が早すぎたのかもしれません。

【了】

※誤字を修正しました(1月18日8時40分)

【T-33の面影なくもないかも?】試作で終わった「スカイフォックス」を前から後ろから

Writer:

航空評論家、各国の航空行政、航空機研究が専門。日本オーナーパイロット協会(AOPA-JAPAN)元理事

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