時代が悪かった? 傑作機T-33幻の高性能版「スカイフォックス」ボーイング後押しも売れず

エンジン換装で重量は軽減、出力&燃費は大幅向上

 しかしF-80はジェット機としての基本性能には優れていたため、それを基にした練習機型が開発されます。主な改良点は、胴体を延長して複座型としたところで、こうして生まれた練習機型T-33は、当時ジェット戦闘機のパイロットを養成するための練習機を必要としていた多くの国々に採用されました。

 アメリカだけでなくカナダや日本でもライセンス生産され、最終的にはF-80を大きく上回る6557機が造られ世界30か国で使用されました。日本でも航空自衛隊が訓練や連絡などの目的に長期間使用したため、とてもなじみのある機種といえるでしょう。

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1982年8月、カリフォルニア州フレスノ空軍基地で撮影したT-33ジェット練習機(細谷泰正撮影)。

 こうして世界中で重用されていたT-33ですが、1980年代になると独仏共同開発の「アルファジェット」やイギリスの「ホーク」など、後退翼とターボファンエンジンを備えた新世代の練習機が登場するようになります。

 そうなるとT-33はどうしても陳腐化が目立つようになりました。そこで、「アルファジェット」や「ホーク」と比べて約半分のコストで取得できる近代的な練習機として、T-33ベースの改修機を造ろうという機運が北米で生まれます。こうして設立されたのがスカイフォックス・コーポレーションでした。

 T-33が搭載するアリソンJ33エンジンは設計の古さから、1980年代の目で見ると重量過大で燃料消費も多く、おまけにオーバーホール間隔も短いというデメリットを持っていました。そこで、まずはエンジンを新型に交換することが計画されます。こうして白羽の矢が立ったのは、ギャレット(現ハネウェル)製TFE731ジェットエンジンでした。

 このエンジンは低燃費で軽量なため、すでにダッソー「ファルコン」やリアジェットなど多くのビジネスジェットに採用されており、性能と信頼性は証明済みでした。改造機はこれを胴体の外部に2基取り付けています。

 重量についても従来のJ33エンジンとTFE731エンジン2基を比べた場合、後者の方が17%も軽く、それでいて出力は60%増し、しかも燃料消費量は45%低減されるとのハナシでした。

【T-33の面影なくもないかも?】試作で終わった「スカイフォックス」を前から後ろから

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