課題山積! それでもウ軍にM1「エイブラムス」&「レオパルト2」が待望されたワケ

3つ目の理由は「外交ツールとしての戦車」

 3つ目が、外交のツールとしてです。

 兵器はカタログスペックよりも、信頼と実績が一番の評価ポイントになります。そうしたなか実はT-72は、「レオパルト」やM1より実戦経験もユーザーも多いのです。T-72の生産台数は約2万5000両、使用国は41か国に及びウクライナ軍も扱いなれており、「レオパルト」も及ばないベストセラー戦車です。

 それでもウクライナが西側戦車を強く希望したのは、「レオパルト」やM1がT-72よりも強そうだという単純なカタログスペック比較ではなく、西側との連携強化を誇示してロシアを牽制するという、外交的プロパガンダの意味が強いと筆者(月刊PANZER編集部)は思います。

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ウクライナはNATOと共同訓練を重ねている。写真は米陸軍主催「ヨーロッパ戦車競技会2017」にて、左から2番目がT-64で参加したウクライナチーム(画像:アメリカ陸軍)。

 ウクライナ軍は、対露関係の悪化でこれまでNATOと何度も共同訓練を行っていますので、西側戦車が初見というわけではありません。しかし、T-72には要らなかった装填手の育成が必要など乗員訓練から兵站整備まで事前にやることは山積し、即戦力にはなりません。1月にバタバタと急展開を見せているのは、春季に計画されているという反攻に間に合うギリギリのタイミングだからです。

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