小田急ロマンスカーSE=「新幹線のプロトタイプ」のワケ メンツを捨てた国鉄 異例の協力
「SE」に展望席案も出たが…
また、高速運転のため低重心化を徹底したことで床面が下がり、小田急社内からは「運転台からの見通しが悪く、踏切事故時の運転士の危険性が高い」「ホームから車内の座席に座る乗客が見下ろされる」「連接車は整備する自信がない」との指摘がなされ、開発は難航しました。この時、運転席を2階として展望席を設ける案や、優等車両を設ける案も検討されましたが実現せず、それらは3100形「NSE」以降で実現しています。
側扉は手動式でしたが、内開き戸として、車体を平滑に保つ工夫がなされました。冷房装置は、小型軽量の機材が存在しなかったことで搭載が見送られ、ファンデリアでの整風に留めています。
座席は、座席間隔1000mmの回転式クロスシートですが、徹底的に重量を軽減し、それまでの座席の半分ほどである33kgとしました。筆者(安藤昌季:乗りものライター)は「ロマンスカーミュージアム」の保存車を取材し着座しましたが、背もたれの高さや座面位置が低く、低重心化への意識を感じられる座席でした。
車体塗装は画家の宮永岳彦に依頼し、バーミリオンオレンジを基調として、ホワイトとグレーの帯が入る配色とされました。バーミリオンオレンジは、3000形以降のロマンスカーに継承され、最新の70000形「GSE」でも使われています。
また、汽笛も音楽的にすべきとの考えから音楽家の黛 敏郎に相談して作り、補助警報音として流しながら走ったので、「オルゴール電車」とも呼ばれました。
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