冬の守護神「ラッセル車」社員減で車掌が兼務 電気代も圧迫 鉄路守る厳しさ弘南鉄道に聞く

青森県の弘南鉄道で94歳のラッセル車が現役です。その名はキ100形。自走はせず、機関車に後押しされ走ります。ローカル線の冬は古豪の車両と、職員の絶え間ない努力で守られていました。

かさむ電気代 とにかく厳しい冬

 さらに弘南鉄道の除雪車は電化路線ゆえ、電気と切っても切れない関係です。除雪列車は電気機関車で運行し、そのたびに電気使用量が増します。昨今は電気代の値上げが取り沙汰されていますが、鉄道の世界でも例外ではなく、冬季は空転、滑走、架線離線に対応するノッチアップ(力行)回数の増加、転轍機ヒーター、暗い早朝の外灯点灯と、電気使用量が増加するため、契約電力量をオーバーしないよう注意が必要です。

 また経産省の減免処置対応に関連して、使用電力量に対して売上が向上しないといけないため、利用収入増加が求められています。「キ100が動いている!」と沿線で喜ぶ背後には、電気代とのせめぎ合いがあるのです。かといって降雪は待ったなしなので、除雪列車は頻繁に運行しないとならず……。難しい状況ではあります。

Large 20230210 01
除雪作業が終わり、職員がED33 3のデッキを行き来する。運転台へは前部デッキより出入りする構造である。許可を得て撮影(2023年1月21日、吉永陽一撮影)。

 キ100形が運行されるのは弘南鉄道のみとなり、全国のファンが注目するでしょうが、マナーを守り、くれぐれも安全への配慮が欠けた行為は慎むべきです。除雪作業時の危険行為や沿線住民への迷惑行為はもちろん、雪で分からないからと田畑などへの侵入も厳禁です。また除雪列車撮影ツアーは有料であり、参加撮影者に対する妨害行為などもやめましょう。

 一般常識として当たり前のことですが、目の前の貴重な列車に目が眩んで周りが見えなくなるのではなく、むしろ厳しい冬に、沿線住民の足を確保するキ100形と電気機関車、運行に携わる職員の皆様へ敬意を表したいところですね。

【了】

【写真】94歳の古豪が豪快に雪を掻く!

Writer:

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。日本写真家協会(JPS)正会員、日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員。

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス