羽田の新バスターミナルに勝機はあるか 成田は乗り場移設 空港バスアクセス競争は新局面へ

十数年の安定期を崩した“格安勢” 羽田の再国際化がきっかけ

 この事態に、東京空港交通は一つの決断をしました。羽田、成田~都心路線はほとんどが同社の単独運行でしたが、他のバス事業者との共同運行により郊外都市への路線網を広げることにしたのです。京王バスと共同で八王子や多摩センター線、西武バスとは所沢や川越線といった具合です。

 これにはリスクもありました。例えば羽田~新宿線の乗客の一部が、他社と共同運行の羽田~調布線や吉祥寺線に転移してしまった場合、共同運行先も「取り分」を得るので、同社の運賃収入はおおむね半減してしまいます。

 しかし、この挑戦の結果は「吉」と出ました。共同運行相手のバス事業者は、多くが大手私鉄系です。大手私鉄のグループは、鉄道車内のポスター、無料配布の広報誌など、沿線住民に自社のサービスを告知する力は抜群です。「乗り換え不要、階段なしで空港へ」という利便性は広く認知され、一気に路線網が広がりました。

 羽田と成田の双方で、一定のシェアを維持する「安定期」は、十数年続きました。

 次の変化は、成田で起こりました。2010(平成22)年、羽田の「再国際化」により、国際=成田、国内=羽田という住み分けが崩れ、空港間の競争が始まったのです。立地で劣る成田は弱点を克服するため、成田~東京都心を格安運賃で運行するようバス事業者らに働きかけました。

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東京駅八重洲南口のバスターミナルに発着していた「THEアクセス成田」。現在は「エアポートバス東京・成田」として、京成便もこの場所から発着(中島洋平撮影)。

 それに答えたのが平和交通らの「THEアクセス成田」、京成バスらの「東京シャトルです。成田~東京駅・銀座が900円からという運賃はインパクトがあり、続々と増便を繰り返しました。これらは2020年に「エアポートバス東京・成田」として統合されています。

 また、成田は、第3旅客ターミナルを新設し、LCCを積極的に誘致しました。ただバス乗り場は、低コスト、短期間で整備したため離れた位置に設置せざるを得ませんでした。コロナ禍による一時的な影響はあったものの今後も順調にLCCの就航が期待できることから、隣接する貨物施設になんとか移転してもらい第3ターミナルを増築、かつ目の前にバス乗り場を移設したのが、冒頭でご紹介した「カーブサイド」です。

【便利…?】羽田の新バスターミナル/成田T3の新バス乗り場(地図と写真)

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