新型戦車KF51 最初の顧客はウクライナ? 強気発言が注目される独ラインメタル社の野望

ドイツのラインメタル社といえば、その戦車砲で界隈には広く知られ、自国はもとより各国の戦車メーカーとの協業も手広く商ってきましたが、ここにきて独自路線を歩もうとする動きが見られます。その先に何を見ているのでしょうか。

保険? KF51の狙いはどこに

 KF51は完全な新車ではなく、車体、エンジン、トランスミッションなどは「レオパルト2」の流用です。ラインメタルのスタンスは、KF51はあくまで「レオパルト2」の改良型であり、MGCSとは関係ないというものでした。しかしながら意識していないはずはありません。

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KF51をやや上面から見ると、砲塔がかなり大きいことが分かる。斜めに開いているのが徘徊型弾薬のキャニスター部(画像:ラインメタル)。

 欧米、特にヨーロッパにおける兵器国際共同開発は、歴史を見ても分裂と中止が繰り返されてきました。たとえば1960年代の、アメリカと当時の西ドイツによる戦車共同開発MBT-70は、両国の方針不一致、開発費高騰で中止となり、そののち西ドイツは「レオパルト2」、アメリカはM1「エイブラムス」を個別に完成させています。

 ラインメタルのKF51は、MGCSの失敗を見越した保険なのかと疑いたくなるのも自然でしょう。KMWはラインメタルに対し、MGCSのコンソーシアムメーカーとして裏切り行為だと非難しています。

 MGCSの保険としてプライベートベンチャーで秘密裏に社内開発しているならまだしも、自らも参加しているMGCSプログラムのライバルにもなるようなKF51を堂々と出展するラインメタルの意図は、どこにあるのでしょうか。

 ラインメタルは、先にふれたように西側主力戦車の主砲製造の多くを担っており、120mm戦車砲弾も生産しています。「レオパルト2」のウクライナへの供与決定で戦車砲弾の需要は急増しており、パッパーガーCEOは「我々は年間24万発の120mm戦車弾薬を生産することができ、これは全世界が必要とする数よりも多い」と述べています。

 さらにパッパーガーCEOは、KF51の供与が承認されれば、15か月から18か月でKF51の生産を開始できるといい、ウクライナに現地生産工場を設立する用意があることまで言及しています。ウクライナは自国で戦車を生産できる国力を持っており、ラインメタルはKF51をてこに、紛争後を見据え東欧にも商圏を拡大しようという意図であろうことが見てとれるようです。

【画像】砲弾もセットでどうぞ 次の西側標準戦車砲か 52口径Rh-130 130mm滑腔砲

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